五百四十五話 王都の状況

 さてさて、問題となっている王都ですが、軍務卿から衝撃の言葉を聞かされました。


「王都に現れた五体の魔獣のうち、四体をポニーに乗ったミカエルとブリットが倒したぞ」

「「「えっ!」」」


 いやいやいや、ミカエルさん何をやっているのですか!

 流石にティナおばあさまもリズも、この事を聞いてびっくりしていました。


「実は、ナイツ子爵領に向かって直ぐに魔獣の襲撃が起きたんだ。幸いにして発生したのが王城の真ん前で、街中ではなかった。でだ、俺と共にルーカス殿下が指揮をとって、完全に魔獣化している一体を倒した。まあ、アイビー殿下の従魔がその魔獣を糸でぐるぐる巻きにして、更にアイビー様が弱いながらも状態異常回復魔法を使って弱体化させたからあっという間に片付いたぞ。アレク君の所にいる二人も、魔法を使って攻撃していた」


 この辺は全く問題ありません。

 元々何かあったらルーカス殿下が指揮をとる事は想定されていたし、アマリリスもやる気満々でした。

 サンディとイヨも魔法攻撃は中々のものだし、その魔獣化したのはタコ殴りされたんだろうなあ。


「でだ、他に人間状態を保ったのが四体こちらに向かってきたんだわ。まあ、探索と鑑定を使える魔法兵を準備していたから直ぐに正体が分かったんだ。で、こちらも迎撃の準備をした所だった。四体一斉での魔法攻撃は中々きつかったぞ。だが、サンディの魔法障壁の固さの方が上回ったな」


 恐らく先に完全に魔獣化したのを突っ込ませて、こちらが疲弊したタイミングで一気に残りの四体が王城目掛けて襲撃したのだろう。

 作戦としては中々だけど、サンディの魔法障壁はとにかく固いから簡単には破れないだろうなあ。


「でだ、危ないからと王城に押し込んでいたはずのミカエルとブリットがポニーに乗って現れてな、ポニーが一気に部隊の上を飛び越えて一気に前線に降り立ったんだわ」


 あの、ミカエルさんや、一体なにをしているんですか!

 絶対に乗っていたのはブッチーだと思うし、ブッチーなら大ジャンプも可能だ。


「ミカエルとブリットはポニーと一緒にいたマジカルラットと共に魔法障壁を発動してな、ポニーに乗ってそのまま魔獣を跳ね飛ばしたんだわ。で、トドメに二人と二頭による状態異常回復魔法で魔獣化した四人を撃退した。あっという間だったぞ」


 話を聞くと、ミカエルとブリットとブッチーならやりそうな気がするな。

 ミカエルと一緒にいる確かアプちゃんと名付けたマジカルラットも、乗りが良い性格だった気がする。

 しかしブッチーとアプちゃんと一緒とはいえ、一気に四体の魔獣を倒す合体魔法ってのも物凄いなあ。


「で、単身切り込んだ件で、ミカエル達はルーカス殿下とアイビー様に怒られているぞ。まあ、やった事は物凄い事なのだが、非常に危険な場面だったからなあ」

「ミカエルの事だから、危ないと思ったんだもんって言いそうな気がしますね」

「流石はいとこだな、その通りだ」


 何だかミカエルらしいエピソードといえばそうなんだけど、流石に危ないから僕も一言いっておこう。

 でも、褒めるのも忘れない様にしないとね。

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