五百二話 かわいらしいわがまま

 もう直ぐ入園式なのですが、王城で勉強をしていてちょっとした問題が。


「ミカもるーにーにを見たい!」

「ブリも!」

「だから、入園式にはミカエルとブリットは参加できないの。サンディとイヨも参加できないんだから」

「「えー」」


 ミカエルとブリットが、入園式に参加したいと駄々をこねてきたのだ。

 普通の入園式なら見に行っても良いのだが、今回は警備が厳重になっている。

 ただでさえ参加者を絞っているんだから、わがままはいけないよ。


「じゃあ、王城で入園祝いの簡単なパーティをしましょう。それなら、皆も参加できるわ」

「うー、わかった」

「うん」


 聞き分けのいいミカエルとブリッドなので、ティナおばあさまの提案にしぶしぶといった感じで納得してくれた。

 まあ、仲の良いお兄ちゃんの晴れ姿を見たい気持ちは分かるけどね。


「しかし、今回は随分と警戒していますね。俺も招集されるとは思いませんでした」

「念には念をってね。将来の国王と王妃が学園に入園するんだから、それくらいの警戒をして良いものよ」


 今日もベビーシッター役のジンさんが、ルカちゃんとエドちゃんを抱っこしながらティナおばあさまに質問していました。

 ジンさんクラスの冒険者がいると、現場としては安心だね。

 因みに、レイナさんとカミラさんとルリアンさんとナンシーさんも現場の警備に参加します。

 アレクサさんが王城に行って、子ども達の面倒を見てくれるそうです。


 ぺちぺち、ぺちぺち。


「むー!」

「じー!」

「はいはい、悪かったな」


 おっと、ここでルカちゃんとエドちゃんのインターセプトが入りました。

 大好きなジンさんが、ティナおばあさまと一緒に話をしているのが気に入らなかった様ですね。

 ティナおばあさまも、ルカちゃんとエドちゃんの様子を見てくすくすとしています。

 因みにジンさんの子どものレイカちゃんとガイルちゃんは、侍従と一緒に絵本を読んでいました。

 マイペースなところは、ジンさんにそっくりですね。


「しかしながら、闇ギルドの連中は何をやりたいのか。本当にさっぱり分からないぞ」

「動向が見えませんからねえ。今度、オカマさんの所に行って話を聞いてくるのも良いかもしれませんね」

「そうだな。とはいっても、情報は持っていないと思うがな」


 僕もジンさんと闇ギルドの事について話をするけど、何をしてくるのか本当に分からない。

 時間が出来た時に、オカマさんの所に行ってこよう。

 イヨの表情が、段々と戻ってきた事も報告しないとね。


 ぺちぺち、ぺちぺち。


「むー!」

「じー!」

「またかよ。分かったから叩くなよ」


 あらら、またもやルカちゃんとエドちゃんがジンさんの顔をぺちぺちと叩いています。

 ルカちゃんとエドちゃんに嫉妬されない様に、話はこの位にしないとね。

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