四百八十八話 新しい侍従が決定です

 薬草採取の後は、屋敷に戻って侍従の面談状況を確認しに行きます。

 ミカエルとブリットに赤ちゃん軍団も辺境伯様の屋敷にいるので、ついでに様子を見に行こう。


「「「こんにちわ」」」

「いらっしゃい。タイミング良かったわ」


 辺境伯様の屋敷に行くと、ソフィアさんが出迎えてくれた。

 でも、タイミングが良かったって何かあったのかな?


「ちょうどアレク君の屋敷の侍従候補が決まったのよ。後は、アレク君の最終面接ね」

「そうなんですね、ありがとうございます」


 事前面接が終わったら、後は僕の面接のみです。

 面接対象は一人だけらしいので、そのまま面接を行っている部屋に向かいます。


 かちゃ。


「ねーねー、いつくるの?」

「それはね、これからアレク君の面接をしてから決まるのよ」

「そーなんだ!」


 おや?

 ミカエルが、私服を来た女性に抱っこされながら話をしているぞ。

 ブリットも、他の赤ちゃん軍団も女性の側にいる。

 というか、あの女性は僕もよく知っているぞ。


「あー、薬草採取で一緒のお姉さんだ」

「リズちゃん、こんにちは」

「もしかして、侍従候補ってお姉さんですか?」

「そうなのよ。実は結婚したので、安定した職業を考えていたのよ」

「それはおめでとうございます」


 僕とリズが最初に薬草採取をした時からお世話になっているお姉さんが、まさかの侍従候補だとは。

 リズの事を優しく諭した事もあるし、ミカエルとブリットも薬草採取で一緒になった事がある。

 たまに僕の屋敷で魔法の訓練をした事もあるし、侍従のお姉さんとも顔を合わせた事がある。

 ミカエルがお姉さんに抱っこしてもらっているので、ソファーに座ってもらった。


「では、改めまして。ジュリと申します。旦那はこの街の守備兵になります」

「旦那さんは守備兵だったんですね。となると、夜勤とかもありますよね?」

「はい。ですが、夕方前に出勤して朝方帰ってきます」


 ジュリさんは長身スレンダーで、緑色のロングヘアです。

 いつもニコニコしているけど、注意もしてくれるからとても安心です。

 一番気になったのはジュリさんの旦那さんの勤務形態だったけど、夜中に戻ってくるという事はなさそうです。

 それに、非常事態には僕達も現場に駆けつけるけどね。


「旦那さんと一緒に屋敷に住んでもらいますけど、それは大丈夫ですか?」

「はい。というか、旦那はまだ兵舎の独身寮におりますので」

「それでは、早めに一緒に暮らせた方が良いですね」


 現在の住居状況も問題ないし、これは決定で良さそうですね。

 何よりもミカエルもブリットも安心してジュリさんに抱きついているし、リズもニコニコしています。


「ソフィアさん。では、このまま手続きをお願いします」

「はい。でも、こうなると思っていたから、ある程度は進めておいたわ」

「ありがとうございます」

「「「わーい!」」」


 流石はソフィアさんだ、先回りして手をうっているとは。

 リズもミカエルも他の人も大喜びしているし、良い人が侍従に決まったね。

 こうして、僕の屋敷に新しい侍従が決まりました。

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