四百三十九話 マイク様とセシルさんの結婚式の招待客
そして、いよいよマイク様とセシルさんの結婚式当日になりました。
僕は相変わらず忙しいタクシーになっています。
「かれちゃ!」
「おはようございます。ミカエルちゃん、招待状ありがとうね」
「えへへ」
マロード男爵領で湯治を行った縁もあって、教皇国からカレン様もやってきました。
ミカエルの書いた招待状を丙に見せながら、カレン様は得意気な表情を見せるミカエルの頭を撫でていた。
そして、カレン様はミカエルと手を繋ぎながら屋敷に向かっていきます。
ミカエルとブリッドの招待状大作戦はとても単純で、ただ単にミカエルとブリッドが招待状と書いた紙にマロード男爵が判を押すだけです。
とはいえ、この紙を僕が迎えに行った際に手渡すので、ミカエルとブリッドの書いた招待状を急いで偽造する事は出来ません。
何よりも子どもが書いた下手くそな文字なので、模写するのはほぼ不可能でしょう。
全ての参加者がストール男爵の件を知っていて、この作戦を伝えると喜んで協力してくれました。
「しかし、面白い作戦よね。これなら、ストール男爵は領内に入る事は出来ても屋敷には絶対に入れないわね」
「はい、僕が直接ミカエルとブリッドの作った招待状を手渡しているので、ストール男爵は決して屋敷には入れません」
僕の所に王妃様がやってきて、作戦の事を褒めてくれた。
お留守番が決定していた陛下が無理矢理ついてきようとしたけど、ミカエルとブリッドの招待状が無いことで諦めていた。
陛下も屋敷に入る事をお断りしたとあって、男爵レベルなら問答無用で追い出せます。
「陛下に鹿肉のしゃぶしゃぶセットを持っていくと言ったら、かなり喜んでいましたね」
「どうせあの人は、結婚式よりもマロード男爵領の美味しい食事と温泉を堪能する気だったのでしょうね」
「あはは……」
王妃様の本音に、僕は苦笑するしかなかった。
王妃様も、前に庶民向けの公衆浴場で温泉を堪能していたっけ。
今度時間がある時に、陛下もマロード男爵領の温泉に呼んであげよう。
「花嫁衣裳を見てきたけど、とても綺麗ね。セシルもとても良い顔をしていたわ」
「次はジンとアレクサの結婚式ね。綺麗な花嫁を見るのは良い目の保養になりますわ」
と、ここでアリア様とティナおばあさまも僕の所にやってきた。
更には、宰相を始めとする閣僚も集まってきた。
ルーカスお兄様とアイビー様も来ています。
実は一番最後にカレン様を迎えに行く事が決まっていたので、これで招待客が全て揃った事になります。
なので、他の人も屋敷の門の所にやってきました。
後は、ストール男爵が押し掛けるのを止めるだけです。
因みに、ストール男爵が防壁を通過したのは確認済みです。
やはりというか、偽造した招待状を持っていた様です。
そして、ストール男爵には常に監視をつける事になりました。
なので、ストール男爵はある意味袋のネズミ状態です。
パカパカパカパカ。
「皆様方、申し上げます。間もなくストール男爵の乗った馬車が到着いたします」
「報告ありがとう。引き続き監視を続けて下さい」
「はっ」
「屋敷にも報告に行って下さい」
「私が向かいます」
騎馬に乗った騎士が、僕達の所に報告をしにきました。
ティナおばあさまが返事をし、王妃様が門番をしていた兵に指示を出していた。
「いよいよだな。正々堂々と馬鹿を撃退できるぞ」
「全くですな。ストール男爵の借金返済が滞っていて、王城まで苦情が出ていましたからな」
軍務卿と商務卿が話をするけど、債権者が王城にまでストール男爵の苦情を言いに来るとは。
本当にストール男爵は、どうしようもない存在なんだろう。
ガラガラ。
「おっ、遂に本命がやってきたな」
「男爵なのに、豪華な馬車に乗っていやがる」
「お金が無いなんて、どの口がいうのだか」
遠くからでも一目で分かる豪華な馬車が、屋敷に近づいてきた。
あの馬車を売っただけでも、かなりの金額になりそうだよ。
そして閣僚の皆様方、殺気を垂れ流すのはいいのですが武器を出すのは勘弁して下さい。
王妃様とアリア様とティナおばあさまもですよ。
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