四百十七話 謎の入れ墨

 オカマさんの話は更に続きます。


「闇ギルドは大きく分けて、教団に近い組織と一般人に近い組織に分かれるわ。私は一般人に近い組織だったわ」

「教団に近いとの別では、何か違いがあるのですか?」

「ええ、教団に近い組織はもっぱら闇ギルドに専従するわ。私なんかは普通に仕事をしていて、必要な時に闇ギルドに呼ばれるわ」


 教団組織と信者って区分けか。

 だから、オカマさんやスキンヘッドの様に仕事をしながら闇ギルドに関わっている人もいるんだ。


「私もね、本当はお転婆な事はやりたくないのよ。でも、両親が戦いの最中で死んだのと、この入れ墨のせいで良いように扱われたわ」

「えっ!」


 オカマさんが服をまくって腕を見せると、薄い入れ墨の様なものが現れた。

 何か呪術的なものなのか、文字みたいなものがあった。

 すると、アレクサさんはびっくりした表情に変わった。


「まさか、それは闇魔法の一つの拘束の文言ではありませんか?」

「正解よ、これは巫女の血を混ぜて彫られた拘束の文言よ」

「でも、抵抗する意思があると効果を発揮しないと聞きましたが」

「その通りなのよ。だから、私も子どもの時に眠らされて彫られたのよ。これを彫られると、ある程度巫女の自由にされていまうのよ。あの巫女は好戦的だから、操られている間は私まで好戦的になったわ」


 となると、闇ギルドは宗教の信仰心ではなく呪術的な闇魔法で配下の者を縛っていたのか。

 そして、姫巫女の影響を強く受けるから、誰もが好戦的になるのか。


「もしかして、エレノアの誕生日パーティでオカマさんとスキンヘッドがかなり好戦的だったのは、その闇魔法のせいだったんですね」

「そうなのよ。だから、帝国で私がバカに呼ばれた時はそこまでではなかったでしょ? まあ、あのバカは個人的に嫌いだったからちょっとお転婆しちゃったけどね」


 だから、リズとスラちゃんがエレノアの誕生日パーティと帝国のリルムの誕生日パーティで、オカマさんの悪意とかが違っていたと判断したのか。

 あくまでも、姫巫女がオカマさんを操った時に好戦的になるのか。


「確かに、今まで捕えた闇ギルドの関係者は、入れ墨を入れている人が多かったわ」

「ティナ様の言う通りよ。あとは、操る人のレベルで姫巫女の魔法使用量は変わるわ。私も昔は弱かったから、しょっちゅうアチラコチラに飛ばされたわよ」

「だから、昔は各地で貴方の目撃情報が多かった訳ね」

「そういう事よ。強くなってからは、呼び出される事は減ったわ」


 オカマさんが手を広げてティナおばあさまの質問に面倒くさそうにしていたけど、お店をやっているのに年中呼び出されたら大変だよね。

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