四百十一話 オカマさんの作った料理
皆がオカマさんに出会った衝撃から復活したので、店内のボックス席に移動します。
「俺、久々にとんでもない衝撃を受けたぞ」
「私も、中々の衝撃を受けたわ」
「二人は初めて会うからね。私も初めてオカマを見た時は、かなりびっくりしたよ」
未だに衝撃が残っているジンさんとレイナさんを、カミラさんが苦笑しながら二人を見ていた。
そういえば、カミラさんは帝国でオカマさんが現れた時に僕とリズと一緒にいたよね。
「あ、あの人は何なのですか?」
「体は男性で心は女性の人です。まあ、性同一性障害ってものです」
「はあ……」
シスターでもあるアレクサさんからすると、オカマさんの姿は禁忌に近いだろうな。
アレクサさんは、未だに理解が追いついていない様だ。
そして、ティナおばあさまがトドメの一言を言ってきた。
「私達は、あのオカマの姿に驚いている人と、何でギルドナンバーズがここにいると驚いている人に分かれるわね」
「「はっ?」」
おお、ティナおばあさまの話を聞いて、ジンさんとレイナさんがまたもや固まってしまった。
今度はギルドナンバーズの件だろうな。
「あのオカマさんは、闇ギルドのギルドナンバーズですよ。僕もリズも、一回戦った事があります」
「あの時は、オカマさんとスキンヘッドに負けちゃったんだよね。でも、二回目に会った時は嫌な感じはしなかったよ」
レリーフ枢機卿も、あのオカマさんが実は闇ギルドの実力者であるギルドナンバーズだとは思わなかった様だ。
というか、よりによって教会前に堂々とお店を出していて、多くの教会関係者が通っているよな。
「はあい、お待たせ」
「わーい」
と、ここでオカマさんが僕達に料理を運んできた。
すげー、リズはふわとろのオムライスで、ケチャップでハートマークまで書いてあった。
「因みに、料理は本職でやっているわ。手抜きは一切していないから、安心して食べてね。売上も闇ギルドには上納していないわ」
「そうなんだ、いただきまーす!」
「はい、召し上がれ」
オカマさんは料理が本職なのは間違いないだろう。
ふわとろのオムライスなんて、この世界で出てくるなんて思っても見なかったぞ。
「うーん、とても美味しいよ!」
危険を察知する能力に長けているリズとスラちゃんが真っ先にオムライスを食べているので、他の人も恐る恐る料理を食べ始めた。
「何だこりゃ、ステーキなのに滅茶苦茶旨いぞ」
「本当だわ。ちょっと悔しいかも」
ステーキ定食を食べているジンさんとルルーさんが、料理の美味しさにびっくりしていた。
あまりの美味しさに、ルルーさんはメイドとしてとても悔しそうだ。
「何だかとても複雑です。見た目にびっくりしましたが、料理は一流ですね」
アレクサさんも、複雑な表情をしながら焼肉定食を食べていた。
まだ自分の中では完全にオカマさんの事を受け入れられていないのだろう。
「お肉お代わりしようかな?」
「私はお代わりを頼もう」
美味しい料理なので、レイナさんとカミラさんはお肉のお代わりを頼んでいた。
一度オカマさんに会ったことのあるカミラさんはともかくとして、レイナさんも料理の美味しさでオカマさんの姿はどうでも良くなった様だ。
こうして、全員が料理を完食したのだった。
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