三百六十話 新教皇就任パレードに参加する事に

「「「わーい、お鍋だ!」」」


 近衛騎士もシェジェク伯爵とクレイモアさんの護衛も僕の屋敷に泊まると部屋が足らないので、やむなく辺境伯様とジンさんの屋敷にも分散して泊まってもらう事にした。

 人数が多くなったので、辺境伯様の屋敷の大きなフロアで皆で夕食を食べる事になった。

 折角なので、ルーシーお姉様にエレノアも王城から夕食を食べに来ています。

 今日は沢山あるオーク肉を少しでも減らす為に、お鍋にしています。

 皆でワイワイとできるので、王城でもたまに鍋が出ているそうです。


「あの、王族の方や貴族の方もいる所に私達も同席して良いのでしょうか?」

「気にしなくていいですよ。皆身分で差別する事は無いですし、全く気にしませんから」


 王族に貴族当主に他国の来賓と、中々のメンバーが辺境伯様の屋敷に集まっている。

 孤児院のシスターはそんな環境に畏れ多いと思っている様だけど、対応したソフィアさんの言う通りで皆は身分の事を気にする事は無い。

 公式の場ではキチンとするけど、ワイワイとする時は基本無礼講です。

 その証拠に、ルーカスお兄様やルーシーお姉様も孤児院の子どもとにこやかに話しながら鍋を食べています。

 シェジェク伯爵もクレイモアさんも、子ども達と一緒に鍋を食べています。


「ぶりちゃ、おいちいね!」

「うん、おいしい!」


 すっかり仲良くなったミカエルとブリットは、お互いに美味しい美味しいとお肉を食べていた。

 幼いのに、二人ともラブラブですな。


「色々あったけど、教皇国も何とか落ち着きそうですね」

「アホスタイル枢機卿の出身地の問題があるけど、教皇国側の問題でもあるし教皇国に任せておきましょう」


 とりあえず懐古派の元締めは倒したし、多くの幹部も捕縛した。

 ティナおばあさまの言う通り、後は教皇国に頑張って貰おう。


「俺は、人々から聖人の様に崇められるのはもう勘弁だよ……」

「あはは、ジンは教皇国の聖人ですか。あはは!」

「ひー、腹痛い!」


 そして、聖剣を持つジンさんは、特に教皇国の教会関係者から聖人の様に崇められているという。

 ジンさんは気疲れして、ぐったりとしていた。

 レイナさんとカミラさんはそんなジンさんの様子が余程面白いらしく、出産が近い妊婦なのに大きなお腹を抱えて笑っていた。

 そして、ジンさんの憂鬱はまだあるのだ。


「何で、新教皇様のパレードに俺も同行するのだろうか……」

「それはジンさんが新教皇誕生に貢献したからですよ。カレン様は勿論だけど、僕とリズもパレードに同行しますから」


 そう、アホスタイル枢機卿だったものを倒したシェジェク伯爵やクレイモアさんを含む僕達は、新しく教皇に就任するヤークス枢機卿と共に皇都をパレードする事になったのだ。

 それだけ、僕達が教皇国の危機を救ったインパクトは大きいらしい。

 こればかりは仕方ないので、ここはジンさんに頑張ってもらいましょう。


 和やかな雰囲気で夕食は終了。

 王城にカレン様やルーカスお兄様を送った。

 明日の朝、また皆を迎えに行きます。

 ティナおばあさまも陛下に報告があるそうなので、今日は王城に戻りました。


「はあ、今日は肉体的にも精神的にも疲れたぞ」

「はいはい、今日は早く寝ましょうね」

「久々にゆっくりできるでしょ?」


 ジンさんは、レイナさんとカミラさんに付き添われて屋敷に戻っていった。

 なんだかんだで、ジンさんとレイナさんとカミラさんは仲が良いよね。

 僕達も明日は朝早いから、早めに寝ておこう。

 ミカエルに中途半端なタイミングで起こされたから、もう眠いんだよね。

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