三百五十七話 聖剣の誕生
「グオオオオオオオオオ!」」
「素晴らしい、ここまで神々しい聖魔法は見た事がない」
「まさに神の魔法ですわ」
アホスタイル枢機卿だったものに放たれた聖魔法は、段々と光の奔流が収まっていった。
未だに断末魔の叫び声を上げるアホスタイル枢機卿だったものを取り囲む聖魔法を見て、教皇と枢機卿は手を組み合わせて祈りながら事の成り行きを見ていた。
「ゴ、オ、オ……」
そして聖魔法の光が完全に収まると、アホスタイル枢機卿だったものは体の形が崩れて塵となり完全に消滅した。
「ふう、もう大丈夫です」
「全て終わったよ」
僕とリズが教皇と枢機卿に終わった事を告げようと後ろを振り返ると、あらびっくり。
いつの間にか多くの人が大教会の入り口に集まっていて、僕達とアホスタイル枢機卿だったものとの戦いを見守っていた様だ。
「小さな双翼の天使様が、巨大な邪神に打ち勝ったぞ!」
「あんなに幼いのに、悪魔に魂を売りしものを神の光で打ち破った!」
「まさにお二人は神が地上に使して下さった天使様だ」
「双翼の天使様、万歳!」
うん、集まった人はとんでもないものを見たと大フィーバーしている。
うーん、これは完全にやり過ぎた感じがするぞ。
「あー! 俺の剣が!」
その時、祭壇付近でジンさんの叫び声が聞こえてきた。
アホスタイル枢機卿だったものを動けなくするために、足を床に縫い付けていたジンさんお気に入りの剣だ。
アホスタイル枢機卿だったものは僕達の聖魔法を受けて完全消滅したのに、ジンさんの剣は全くの無傷だった。
それどころか、剣についていた傷も綺麗にとれて刀身が金ピカに光り輝いている様な気がするぞ。
皆で床に突き刺さったジンさんの剣を見ていると、何だか神々しい雰囲気が出ている。
ちょっとジンさんの剣を鑑定してみよう。
「なになに? 導くものの聖剣って出ていますよ。聖の属性付きで、聖なる金属からできているってあります」
「おお、ジンさん凄い!」
「つまりはジン専用の聖剣ね。ジンの剣がアレク君とリズちゃんの聖魔法を受けて、聖なる属性がついたのね」
「えー!」
何だかとんでもない鑑定結果に、周りの人もびっくりしている。
というか、聖剣って作る事ができたんだ。
「ふむ、これは導くもの様の剣だからこそ聖剣になったのでしょう。恐らく普通の剣なら、あの魔物の様に塵となったでしょうな」
教皇の解説の通りなんだろう。
僕達が放った聖魔法で、聖なる属性の剣ができたんだ。
鉄の剣を魔鉄に変えた時の応用なんだろうね。
ジンさんは剣を床から抜いて、鞘に納めていた。
気のせいか、鞘も少し豪華になっていた。
「俺、聖剣が生まれた瞬間に立ち会う事ができたんだ」
「流石は双翼の天使様のお師匠様です」
「導くもの様も、神に愛されていたのか」
「ありがたやー」
聖騎士によって気絶しているアホスタイル枢機卿一派が運ばれている横で、沢山の人が膝をついてジンさんとジンさんの聖剣に祈りを捧げていた。
「ははは、もうどうにでもしてくれ……」
ジンさんは空笑いをしながら、事の成り行きをただ受け入れていた。
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