二百六十八話 仮設住宅を建設しよう
「うーん、良く寝たなあ」
翌朝、僕はぱっちりと目が覚めた。
寝袋だったけど、疲れもあったのかぐっすりと眠れた。
「「くうくう」」
リズとサンディはまだ寝ているので、もう少ししたら起こしてあげよう。
お互いに抱き合っていて気持ちよさそうに寝ているし。
「あら、起きたのね」
「はい、目が覚めてしまいました」
テントの外に出ると、着替え終わったティナおばあさまがいました。
スラちゃんとプリンもティナおばあさまの側でふにゃふにゃと謎の体操をしています。
僕も伸びをしつつ辺りを見渡します。
既に多くの人が動いていて、街の方も作業が始まっていました。
「あら、陛下からの連絡だわ。朝食を食べたら王城に来てくれだって」
「ならちょうど二人も起きてきたので、タイミングが良いですね」
ティナおばあさまからの報告に、僕はタイミングよくテントから出てきて眠い目を擦っている二人を見ていた。
さて、今日も動き始めますか。
「私達もやる事が沢山あります。被災された方の事をおもいながら活動しましょう」
「「「はい!」」」
今日はルーカスお兄様とアイビー様にルーシーお姉様がナシュア子爵領にくる事ができないというので、エレノアがやってきた。
スラちゃんとプリンも独自に動くので、僕とリズ達には近衛騎士が護衛につく。
そして、王城勤務の侍従が沢山やってきた。
確かにナシュア子爵の屋敷の侍従も被災しているので、全く手が足りないから非常に助かる。
今日は屋敷の仕事に専念して、明日は避難所に来てくれるという。
なので、ここからは手分けして動きます。
スラちゃんは昨日と同じく土砂の撤去で、プリンは林業の人と共に山にいくという。
ティナおばあさまは内政を官僚と共に手伝って、リズとエレノアとサンディは炊き出しと治療役だ。
因みにフィル様はまだ体調が良くないらしく、今日も安静にしてもらう事になった。
「では、ここに長屋を作っていきますね」
「はい、お願いします」
そして僕はというと、今日も避難所の建築作業です。
テント生活の人も休める様に、土魔法を使って長屋を作ります。
「流石アレク殿下ですね。でも、私達にもできそうですね」
「土魔法が器用に使える人なら、大して難しくないですよ。原理はとても単純ですから」
昨日長屋を作ったので、ドンドンと作っていく。
ランカーさん達も試行錯誤をしながら長屋を作っていった。
そんな中、思いがけず天才が現れる。
「あのー、こんな感じでよろしいでしょうか?」
「凄い、強度も完璧だ!」
「あ、ありがとうございます!」
近衛騎士らしいけど、今まで見た事ない女性だ。
背も小さいし、緑色のふわふわのセミロングヘアの可愛らしい女性だ。
「初めましてですよね?」
「あ、はい。ノエルと申します。先月近衛騎士に配属されました」
「アレク殿下、ノエルは期待の新人です。僅か十六歳で近衛騎士に抜擢されましたから」
ランカーさんが補足してくれたけど、ノエルさんが凄いって言うのもよくわかるなあ。
これだけの魔力制御は中々出来ないよね。
「戦闘はまだ苦手ですけど魔力制御は優秀ですから、何かできると思いまして連れてきました」
「そうですか。とっても助かっています」
「いえいえ、私なんかまだまだですよ」
ノエルさんは手をワタワタしながら話していたのだが、急にしゅんとしてしまった。
何かあったのかな?
「アレク殿下、実は私はあのベストール侯爵家の出身なのです。その節は家の者が多大なるご迷惑をおかけしました」
「ああ、そうだったんですね。もう過去の事ですし、今のベストール侯爵家は落ち着いていますから気にしていませんよ」
「ありがとうございます。でも、お会いしたらお詫びしようと思っておりました」
ベストール侯爵家とは色々あったけど、あの寂しがり屋の当主事件以降はすっかりと大人しくなったし今は全く大丈夫。
ノエルさんはとてもいい人だし、僕としては問題ない。
でも、本人としたら気になるよね。
この件はこれで終わりで、僕達は作業を再開します。
「ふう、簡易住居はこれだけあれば足りそうですね」
「はい、早速テントに住んでいる人も移ってもらっています」
「昨日使ってもらった人も問題ないと言っていましたし、当分は大丈夫ですね」
仮説住宅が出来上がったので、テント暮らしの人が続々と移動していく。
誰が何処に入居したか、早速官僚が台帳を作っていた。
僕達はトイレを増設して、水を入れるカメも増設する。
お風呂ももう一箇所作った。
「洗濯場を作ったら、一斉に使い始めましたね」
「避難している間、洗濯する余裕すら無かったですから」
固めた土を焼いて作った洗濯板が大活躍している。
干し場も作ったし、今日は天気が良いから良く乾きそうだ。
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