二百五十四話 まったりと温泉を満喫

 今日も露天風呂に入るのだが、ここでリズが一言。


「おばあちゃん、チセお姉ちゃんも温泉とご飯一緒でもいい?」

「そうね、一緒に入りましょうか」

「わーい」


 という事で、僕は僕の屋敷からチセさんをご招待。

 

「チセさん、すみません。ずっと留守をお任せしてしまって」

「いえいえ、それがお仕事ですから。こうしてわざわざ呼んで頂き、本当に有難う御座います」


 チセさんは夕食を食べたらミカエルと一緒に帰る事になったので、露天風呂と夕食まではこちらにいる事に。

 そして、昨日と同じく僕は女子更衣室に連れて行かれました……


「アレク殿下って一人で何でもこなすので、中々お手伝いできないんですよ」

「あっ、それ私も分かります。逆に、いつの間にか屋敷にいる他の人のお世話をしているんですよ」

「はあ、普段からそうだもんね。たまにはお姉さん達にお世話をさせなさい」

「……はい……」


 そして今日もお姉さん達に囲まれて、水着に着替えさせられています。

 チセさんも僕のお世話ができないと、他の人と一緒に文句を言ってきます。

 あの、僕の事を着替えさせるのは良いのですが、せめて何か着てから僕の事をお願いします。

 何で皆さんは、昨日と同じく素っ裸なのでしょうか。

 チセさんまで、何も着ないで僕の着替えを手伝っているよ。

 僕は黙って着せ替え人形となっていました。


「わーい!」

「あ、ミカエル! 走らないの」


 そしてミカエルがスラちゃんとプリンと一緒になって女子更衣室を走っている。

 知っている人がいっぱいで、テンションが上がっているのだろう。

 

「ほら、走らないのよ」

「うん、ばーば」


 走っていたミカエルは直ぐにティナおばあさまに捕まったけど、それでもニコニコしているなあ。


 着替えが終わった所で露天風呂に入ります。

 流石にミカエルは全裸だけど、赤ちゃんだから問題ないでしょう。

 

「はあ、疲れた体に温泉が染み渡る」

「お兄ちゃん、年寄りくさいよ」


 温泉入って思わず声を漏らしたけど、本当に色々あって疲れたから。

 リズは昨夜も寝ていたし動き足りないかも知れないけど、僕はかなり動いたんですよ。

 他の人も疲れているのか、湯船の中でまったりしている人が多い。

 

「ちゃぷちゃぷ」


 ミカエルは、桶に入っているプリンとアマリリスを突っついて遊んでいる。

 プリンも疲れたのか、桶の中で大人しく突っつかれていた。


「今日は夕食を食べたら早く寝ましょうね」

「はい、今夜はゆっくり寝たいです」


 僕の隣にいるティナおばあさまもジンさんとかもとても疲れている様なので、湯船の中でのんびりとしています。

 

「いやあ、温泉に入ってまったりとするなんて、贅沢な時間の使い方だよ」


 冒険者のおばちゃんも家族と一緒にまったりしています。

 流石に日中は休んでいて、主に買い物をしていたそうだ。

 因みに冒険者のおばちゃんには、今回のムノー子爵関連で大きな功績があったので国から報奨金が出るそうだ。

 捜索も手伝ってもらったし、何よりも魔獣化したムノー子爵をハンマーでぶっ飛ばしたからなあ。


 露天風呂から上がったら、お待ちかねの夕食タイム。

 昨日と同じく食堂に集まっての夕食です。


「はい、今夜はしゃぶしゃぶですよ」

「「「おー!」」」


 おかみさんが持ってきてくれたのは、猪肉と鹿肉のしゃぶしゃぶです。

 お肉が盛られた皿を見て、リズ達はテンションは上がっています。

 季節の野菜やきのこも沢山あって、栄養もバッチリ。

 

「火傷すると危ないですから、私がしゃぶしゃぶしますね」

「「「はーい」」」


 ここぞと言わんばかりに、チセさんが僕達の分のお肉をしゃぶしゃぶし始めた。

 他のテーブルでも、冒険者のお姉さんや近衛騎士が皆の分のお肉をしゃぶしゃぶしています。


「ほら、ジンは自分が食べる分は自分でやって」

「へーい」


 あ、ジンさんはレイナさんに言われて自分でしゃぶしゃぶしている。

 ジンさん、完全に奥さんの尻に敷かれているなあ。

 そして肝心のお肉のお味はというと……


「おいちー!」

「そうなの、いっぱい食べるんだよ」

「うん!」


 ミカエルが椅子から立ち上がってバンザイする位の美味しさだった。

 おかみさんも、ニコニコしながらご機嫌なミカエルの頭を撫でていた。

 勿論リズ達もパクパクとお肉を食べている。

 きのこも美味しいし、野菜も新鮮でとっても食べやすい。

 僕もご飯をおかわりするくらい、夕食を食べていました。

 今日の夕食も、大満足の内に終わりました。


「ふわあ、ふう」

「それでは、お屋敷でお帰りをお待ちしています」

「はい、明日の夕方前には帰りますので」


 ルーカスお兄様を王城に送って行った後、お腹がいっぱいになってお眠になったミカエルを抱いたチセさんを屋敷まで送って行きます。

 明日は増えすぎた猪や鹿の駆除だから、今日の様な危険な事はないはずだ。

 

「ふわあああ」

「あらあら、アレク君もお眠ね」

「はい、流石にもう眠くて眠くて」


 魔法も沢山使ったし、だいぶ疲れてしまった様だ。

 チセさんを送って行くと、もう意識が半分夢の中に……

 ティナおばあさまに付き添われて部屋の中へ。


「「「じゃんけんぽん、あいこでっしょ!」」」


 部屋では熱いじゃんけん大会が繰り広げられていた。

 恐らく護衛と言う名の下の、僕との添い寝だろう。

 ジェリルさんにランカーさんだけでなく、リズとサンディに冒険者のお姉さん達も加わっています。

 うーん、熱戦が続いているので僕が戻った事にも気がついていないっぽい。

 と言うことで、僕は一足早くベッドに潜り込みます。


「「「あいこでしょ!」」」

「おやすみなさい……」


 僕は壮絶なるじゃんけんの結果を知る前に、夢の中へ旅たって行きました。

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