二百四十一話 みんなお待ちかねのぼたん鍋
「ティナ様、お食事の準備ができました」
「有難う、おかみさん。ほら、美味しいものを食べて嫌な事を忘れちゃいましょう」
「「「はーい」」」
どちらかと言うとムノー子爵の件で嫌な思いをしたのはティナおばあさまだけど、リズ達も勉強をやっていたしご飯は大賛成。
大広間に、宿に泊まっている全員が集まっての夕食です。
僕達の隣の席は、温泉でも一緒だったおばさん一家が陣取っています。
「はい、お待たせしました。今日はボタン鍋ですよ」
「「「美味しそう!」」」
出てきたのは土鍋に盛られた野菜たっぷりのボタン鍋。
新鮮なイノシシ肉を、出汁としょうゆで味付けしてあります。
「はい、取り分けますから待っていてね」
「「「はーい」」」
レイナさんとカミラさんと冒険者のお姉さん達が、ボタン鍋を小鉢に取り分けます。
念の為に近衛騎士の人達が毒味をしていきますが、もうボタン鍋の美味しさで顔が蕩けています。
「じゃあ、いただきましょう」
「「「やったー!」」」
もうリズ達は待ちきれないって感じです。
良い匂いもするし、毒味した近衛騎士が美味しそうな顔をしていたからな。
「「「おいしーい!」」」
そして、小鉢に盛られたボタン鍋にかぶりつき満面の笑みを浮かべます。
ボタン鍋なのでパンじゃなくご飯だけど、皆おかわりもしていきます。
「おばあちゃん、とっても美味しいよ!」
「有難うね、沢山お食べ」
「うん!」
宿のおかみさんもリズ達がバクバクとボタン鍋を食べるから、ニコニコしています。
一方の宿の主人は、王族の僕達が料理を大絶賛していてホッと胸を撫で下ろしていた。
「このお鍋は本当に美味しいですわ。お肉が新鮮っていうのもありますわね」
アイビー様もボタン鍋を美味しそうに食べている。
お嬢様って感じなので庶民的なお鍋ってどうなのかなって思ったけど、全く気にする事はなかった。
「かあ、酒が飲みたいな!」
「やめなさいよ、依頼中はお酒控えるんでしょ?」
「お土産に冷酒を買って家で飲みなさい」
ジンさんはボタン鍋に合う酒を飲みたがっていたが、そこは冷静にレイナさんとカミラさんが止めていた。
冒険者のお姉さん達も隣の席のおばちゃん達も、美味しそうにボタン鍋を食べていた。
そして、締めにうどんを投入。
食べ盛りの子ども達も大人達も大満足の夕食だった。
「おかみさん、相変わらず美味しいですわ。孫もとっても喜んでいますわよ」
「有難うございます。お孫様達なら、いつでも歓迎しますわ」
ティナおばあさまとおかみさんもお互いに満足そうに話していた。
これで終わればとっても良かったんだけど……
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