二百三十八話 更衣室でのハプニング
「「温泉! 温泉!」」
特に温泉を楽しみにしていたリズとエレノアは、お互いに手を繋ぎながら露天風呂がある所に向かっていきます。
ここの温泉は男女混浴で、水着をつけて入浴します。
入った事ないけど、ヨーロピアンスタイルらしい。
脱衣所は男女別に分かれているので、僕は男子用の所に……
と、思ったらリズに手をつかまれた。
「お兄ちゃん、どこに行くの?」
「え? 男子用の更衣室だけど」
「こっちの更衣室は六歳まで男の子も大丈夫だって!」
「えっ!」
確かに温泉の更衣室の注意書きにはお互いの更衣室に入れる幼児の年齢が六歳までと書いてあるけど、今回はいいんじゃない?
と思ったのに、今度は反対の手をエレノアに取られた。
「いつもお風呂一緒に入っているのに、なんで今更恥ずかしがっているの?」
「今回は初めて一緒にお風呂に入る人がいるから、遠慮しているんです!」
今日はアイビー様や冒険者のお姉さん達もいるんですよ。
レイナさんとカミラさんとは一緒にお風呂に入った事があるけど、それは僕が辺境伯領に来たばっかりの頃ですよ。
と、ここで僕の事をヒョイっと持ち上げた人が。
「ほらほら、他の人の邪魔になるから早く入りましょうね」
ティナおばあさまに僕は持ち上げられてしまった。
助けを求めて、ジンさんやルーカスお兄様に男性の近衛騎士がいた男性の更衣室前を見ると誰もいなかった。
くそう、巻き込まれない様に危険を察知してさっさと男子更衣室に入ったんだ。
オマケにスラちゃんとプリンに加えて、アイビー様の従魔のアマリリスまで男子更衣室に逃げていったよ。
無力な僕は、そのままおばあさまに持ち上げられて女子更衣室の中へ。
「お、やっと入ってきたか」
「ほらほら、さっさと服を脱いじゃいましょうね」
女子更衣室に連れていかれると、僕はティナおばあさまからレイナさんとカミラさんにパスされて、服を脱がされていく。
というか、レイナさんにカミラさん、水着も着ないで全裸なんですけど。
「ティナ様、アレク君にはこの水着をはかせればいいですか?」
「ええ、そうよ。お願いね」
「はーい」
「任せてください」
そして今度は冒険者のお姉さんに周りを囲まれて水着をはかされてしまった。
何故かお姉さん達も全裸で水着をまだ着ていない。
うん、なんでか密着されて着替えさせられたので、色々と柔らかいものが当たって大変でした。
「アレクは殿下なのですから、侍従に着替えられることに慣れないといけませんわ。お風呂などでは、侍従も裸ですわよ」
「僕、もう一人で着替えもできるので、一人で大丈夫です」
アイビー様が僕に向かってビシッと指差ししているけど、アイビー様も水着を着ていない。
お願いだから、水着を着てから話をしてくださいよ。
「お兄ちゃん、服が脱げないよー」
「はいはい、直ぐにいくよ」
服を脱ぐのに手間取っているリズを見て、僕はほっと一息。
リズの服を脱がせて、水着を渡してあげた。
「アレクお兄ちゃん、こっちも手伝って」
「はいはい、今行くよ」
今度はエレノアに呼ばれて服を脱がすのを手伝っていく。
二人とも頭で引っかかって服が脱げないことが多いんだよな。
「アレク殿下、私達の仕事を取らないで下さいよ」
「そうですわ。こういう時は、私達が殿下のお世話をしますわ」
今度はルーシーお姉様の服を脱がすのを手伝っていたら、少しぷんぷんしているジェリルさんとランカーさんの姿が。
近衛騎士なのに僕が三人の着替えを手伝ってしまったので、仕事が無くなってしまった様だ。
しかしジェリルさんにランカーさん。
お二人とも全裸ではなく、水着を着てから僕に文句を言ってくださいよ。
「まだ殿下は五歳ですよ。何をおっしゃっているんですか」
「そうですわ。まだ、五歳ではありませんか。子どもなのですから、裸を見られることくらい何も問題ありませんわ」
いや、だからね。
はあ、もう何を言っても無駄な様な気がしてきた。
僕はちょっと項垂れながら、リズの着替えを手伝ってあげていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます