百八十四話 作戦開始
そして作戦決行の朝になった。
朝早くスラちゃんとプリンが帰ってきたけど、良い仕事をしたという表情になっている。
どうやら、かなりのネズミを駆逐できた様だ。
更にプリンもパワーアップしたらしく、ちょっと誇らしげに揺れていた。
「町長、宜しくお願いします」
「任せてくれ。ブッフォンにギャフンと言わせてやる」
「おお!」
作戦はこうだ。
町長が会談の為にブッフォンの屋敷に向かうのだが、こっそりスラちゃんもついていく。
ブッフォンが泥酔した所でスラちゃんが連絡してくれて、兵を呼び寄せて一気に突撃する。
複数回ゲートを繋がなくて良いように、辺境の部隊は事前にレイクランド辺境伯領の駐屯地に待機する事になっている。
勿論、陛下の許可も取ってある。
町長は護衛と共に、意気揚々とブッフォンの屋敷に向かっていった。
「いよいよですね」
「私もブッフォンにギャフンと言わせたいです」
サンラインさんとクレイモアさんも、完全武装で準備している。
しかし、街の兵は本当にやる気がないらしく、最後まで屋敷の巡回に来なかった。
念の為にそういう事態も想定していたけどもう大丈夫。
ブッフォンはチェックメイトだろう。
「もうそろそろかな?」
「そうだね。お昼前に歓迎会が開かれるらしいから」
ティナおばあさまも完全武装していて、僕とリズも冒険者の服装に着替えている。
首都にいる間はずっとかつらをかぶっていたけど、今はもうしていない。
リズは窓の外を見ながら、プリンと共にまだかなと言っていた。
その時、どこからともなくスラちゃんが現れた。
「おお、スラちゃんワープが使えるようになったって」
「本当? 凄いな。それでもう兵を連れて行って大丈夫かな?」
「大丈夫だって。ブッフォン寝ているってよ」
「よし、行こう」
いつの間にかワープが使えるようになったスラちゃんが、作戦通りにブッフォンが眠ったと教えてくれた。
僕達は屋敷から通りに出ると、レイクランド辺境伯領の駐屯地にゲートを繋いだ。
「作戦成功か?」
「はい」
「よし、行くぞ!」
「「おお!」」
ゲートから軍務卿が顔を出して確認してから、一斉に兵がゲートから出てきた。
「それでは、ブッフォンの屋敷に向かうぞ」
「「「おお」」」
辺境の街の部隊は、サンラインさんとクレイモアさんに率いられて颯爽とブッフォンの屋敷に向かった。
それと同時に王国の部隊も直ぐに行動を開始し、街中にいる兵を次々に捕縛していく。
急に現れた王国軍に、共和国の兵はなすすべなく捕まっていく。
というか、びっくりして尻もちついていたぞ。
「軍務卿閣下、後は宜しくお願いします。僕もブッフォンの屋敷に向かいます」
「ああ、ブッフォンに引導を渡してやれ」
「はい」
「よーし、行くぞ!」
全ての部隊がゲートを通過したのを確認してから、僕は軍務卿に後を頼んでブッフォンの屋敷に駆け出した。
リズとプリンもやる気になって走り出している。
ティナおばあさまと近衛騎士も、一緒についてくる。
こうしてブッフォン捕縛に向けての作戦が開始されたのだった。
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