第三百六十八話 再調査
「うん? 何だこの書類は?」
学園の卒園式も近づく中、俺はひたすら書類をこなしていた。
そんな中、少し気になる報告が上がっていた。
「宰相、この軍からの報告は見ましたか?」
「いや、まだ見ていないぞ。どれどれ? うーん、これは少し問題だな」
各部署から上がってきた書類を確認していた所、軍の報告に目が行った。
嫌な予感しかしない内容だった。
「人神教国の旧施設に、何者かが立ち入った形跡があると。確か人神教国の施設は、三国共同で今も監視中ですよね?」
「その通りだ。この話は少し由々しき事態だな」
「先ずは調査を進める事と、監視を増やす事ですかね」
先ずは陛下へ報告し、軍務卿からの報告を待った。
「お兄ちゃん、また誰かが悪い事を企んでいるのかな......」
「もう、大きな戦いは嫌だな」
「大丈夫、きっとパパが何とかする」
「おいおい......」
ララとリリは人神教国との戦いを思い出しているけど、レイアはけろっとしていた。
そんな事を話しつつ、この日の仕事は終了した。
しかし三日後、事態は悪化する。
関係者を集めての緊急会議が開かれる事になった。
「やはり建物内部に侵入した形跡があった。しかし、建物周辺は完全に無人だった」
「となると、何かしらの方法を使って建物の中に侵入した事になりますね。ワープや何かしらの魔法を使った形跡もないのですが?」
「魔法が発動すると警報がなるシステムを導入したが、何も起きなかった。因みにレイア考案の魔道具だ」
軍務卿の報告に、陛下や閣僚も手を組んでうーんとうなっている。
俺も軍務卿に質問したけど、
「うーん、何をしたのだろう? 単純にどこかから穴を掘って、地下から侵入したとか」
「その可能性もあるな。だが、調査範囲が広範囲になってしまう」
「どこかにいる凄腕の冒険者にヘルプするとか」
「そうだな、その方法があったな」
あの、俺何か言いましたか?
皆さんの視線が俺に集まっていますよ。
「俺は無理ですよ、大量に仕事が溜まっていますから」
「ははは、大丈夫だ。サトーには仕事をやってもらおう。サトーの所には沢山の冒険者がいるではないか」
「流石に学園入園組やエステル達の学園卒園間近は無理ですよ」
俺だって学園生活を楽しみしていて直前で怪我をするとか、エステル達も卒園間近で怪我をするとか、そんな事をさせるつもりはないぞ。
「サトー、流石の儂でもこのタイミングで娘を借り出そうとはしないぞ。それに結婚間近のオリガやマリリも同じだ」
「では一体誰を?」
「スラタロウやホワイト達がいるではないか。リーフやシルは軍を率いる事も出来るし、正直サトーの従魔だけでも戦力が異常過ぎる」
「あー、確かにそうですね」
「という事でメンバーを専攻して、早速捜査にあたってくれ。ああ、リーフとシルは軍属扱いで別だ」
という事で、急遽というかうちの従魔で編隊を組むことになった。
そういえば屋敷の護衛もあるけどその辺は大丈夫かなと思いつつ、皆の意見を聞いてみた。
「屋敷の護衛は大丈夫です。私達もいますし、従魔も全ては行きませんので」
先ずはほぼ侍従長のフローレンス。
うちは侍従もたまに訓練しているから、そこそこ強いんだよな。
「「「僕とニー達が、お姉ちゃんを守る!」」」
話に加わったのはマシュー君達。
マシュー君達はともかく、ニー達も強いんだよな。
「ポチもタラちゃんもドレス製作で残りますので、心配はないかと」
そっか、ドレス製作班でタラちゃん達は残るのか。
なら、ソフィーとジュリエットの護衛も大丈夫か。
「あ、ショコラは残るぞ。フローラ様がエステルの側から離すなって」
「えー、久々に誰にも邪魔されずにのんびりできると思ったのに……」
エステルのサボり監視の為に、ショコラは残るようにとフローラ様から厳命されたからな。
既に崩れ落ちているエステルを見る限り、ぐーたらするつもりだったらしい。
という事で、編成部隊が決まった。
スラちゃんとホワイトとタコヤキは指揮できるので、隊長ポジション。
空から監視するために、サファイアとバハムートの空を飛べる従魔が参戦。
地上は、ベリルとフウに加えて何故か馬二頭も参加する。
もうこの時点でかなりの戦力な気もする。
残りのスライム部隊は、全員で人神教国の施設内を捜索するという。
因みに、サンダーバードの雛はまだ小さいから参加を見送りです。
「うーん、オークが千頭いても瞬殺できるな」
「馬がいるだけで、既に過剰戦力ですよ」
最近活躍の場が少なかったので、バハムートに話をしていた所で馬からの連れて行けアピールが凄かった。
良く考えれば、馬ももうすぐ父親になるんだよな。
という事で、戦力は確定。
スラタロウがいるから、食料も全く問題なし。
早速明日から頑張って貰います。
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