第三百五十八話 刺激が欲しい
王都に戻ってきてから、一週間。
ミケ達が王都の巡回を行っているが、目ぼしい成果はなかった。
普通の悪者は捕まるのだが、人神教の残党は見つからない。
「この前の港町でも、捕縛した連中以外は見つかりませんでしたし、活動しているのはごく少数なのかもしれません」
「うーん、それだと組織の拠点を発見するのは時間かかりそうですね」
「こればっかりは仕方ないかと。いつも通り巡回を継続するだけです」
夕食時にリンから話を聞くが、巡回部隊は最初から長期戦を覚悟している様だ。
ここは暫くお任せしておこう。
さてそんな日々が続いていたのだが、最近少し嬉しいことがあった。
人神教国で発見したかなり重症だった人と、ようやく会話ができるようになったのだ。
名前も分かって、ヴィータという。
やはりというか研究所で色々されていて、その後あの地下の拘置所の様な所に放置されていたらしい。
そして俺やシルク様の様に、魔獣化の薬や闇の魔力から回復したので、反動で物凄い聖魔法が使える様になった。
何故か、俺と同じく回復系統に特化しているが。
「だいぶ歩ける様になりましたね」
「はい、皆さんのお陰です」
歩行器を使いながらだけど、ヴィータは少しずつ歩ける様になった。
懸命にリハビリをしているけど、マリリさんとマルクが回復具合に合わせて様々な歩行器を考案しているのも大きかった。
軍や教会にも作った歩行器のサンプルが渡されて、怪我した人のリハビリに使われ始めている。
マリリさんは更に色々とポーションを改良していて、ポーションの博士みたいになっている。
とまあ、こんな具合で暫く平和な日常が進んでいった。
というのも、人神教国の案件がめっきり減って以降、特別なイベントが殆ど発生しなくなったのだ。
その結果、俺は王城で仕事をごりごりやる他に殆どやることがなくなってしまった。
気がつけば、前世と同じく仕事仕事の毎日。
「このままで良いのだろうか。いや、良くない!」
「パパ、うるさい」
「はい」
思わず仕事中に叫んでしまったが、四歳児にたしなめられてしまう。
このままではまずいな、何か刺激が欲しい。
「サトー、大丈夫だ。年が明ければ、嫌でも忙しくなるぞ」
「宰相、何か知っていますね」
「ははは、言わぬが花だ」
勝手に刺激がやってくると宰相が俺に言っていたが、年明け俺は地獄を見る事になった。
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