第三百三十一話 収穫祭のプログラム
「やっぱりというか、ネズミが出てきたぞ」
収穫祭を二日後に控えて、それでも普通に仕事をしていると軍務卿がやってきた。
もしかして、奴らの事だろうか?
「ルキアの所から連絡があって、人神教国の残党を捕まえたという。無差別テロ行為を仕掛ける予定だったらしいな」
「想定していたとはいえ、懲りない奴らですね。今度は住民を巻き込むつもりですか」
「ゴキブリなみ」
「だか、これからは何をしてくるか全くわからないからな。王都の巡回も強化させる」
無差別テロは、本当に勘弁。
罪のない住民が巻き込まれる。
まだ標的を絞ったテロ行為の方が、こちらも色々と対応ができる。
旧人神教国の残党は、本当の犯罪組織に成り下がった様だ。
人が集まる時を狙って犯行を行う可能性があるので、軍の警戒も高くするという。
各閣僚と主要都市にも周知する。
「サトー。ついでというか、ルキアから当日のプログラムが届いたぞ」
「有難う御座います。どれどれっと。えっ、なんで来賓に聖女様?」
「サトーを呼んだって、ブルーノ侯爵領の住民は分からんぞ。しかも聖女様がいるから、格闘技大会で怪我した人も直ぐに治せるとあるぞ」
「ハハハ、それならサトーは諦めるしかないな」
「パパのままじゃ分からない。当たり前」
ああ、もうブルーノ侯爵領で人前に出る時は女装が当たり前になっていきそう。
ちょっと気落ちしながらプログラムを見ると、更に驚いた項目を見つけた。
「え? 夫婦のエキシビションマッチ、オリガ対ガルフにマリリ対マルクってなんですか!」
「これは本人達からの希望だぞ。婚約者であるのだから、別に間違ってはないだろう」
「超楽しみ」
「本当ですか。お互いに、普段の不満とかぶつけなければいいですが。そして、決勝戦の後にブレット対バーナード戦を持ってきましたか」
「ここの戦いは絶対に盛り上がるからな。ある意味メインイベントだ。格闘技大会もシルクとビューティーを決勝戦で当たるようにしているから、観客のボルテージも上がるだろうな」
軍務卿も楽しみなカードだと言っているが、ある意味王国最強決定戦になるぞ。
そりゃ、観客は盛り上がるだろうな。
「はい、これはルキア様にお願いして組ませて頂きました」
「お互いの婚約者に不満はないですが、たまには良いかなと。勿論相手も了承済です」
「お互いが納得しているなら問題はないが、やりすぎには注意ですよ」
うちに帰ってオリガとマリリさんに話を聞いたら、あっさりと本当の事だと認めていた。
激しい戦いが予想されるから、いくら治療できるとはいえ大怪我には気をつけて貰いたい。
「むふふ、ミケも頑張るんだよ!」
「お店を出すよ!」
「屋台だよ!」
「何をやるんだ?」
「「「アイス屋さん!」」」
そして、ミケ達のテンションも上がっている。
子ども達だけで、アイス屋をやるそうだ。
屋敷の前でやるらしく、門兵が直ぐ側にいるのと保護者でフローレンスがいるらしい。
スラタロウが子ども達にアイスの作り方を教えているから、きっと美味しい物ができそうだ。
「サトーは来賓アンド治療係で、ずっと本部に詰める事になるね」
「うう、今回はどこにもいけない可能性が高い」
「へへーん、私は皆と食べ歩きをしてくるよ」
エステルは、美味しい物を一杯食べられると夢見心地になっている。
後で、フローラ様に何か言われなければいいな。
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