第三百五話 夜警と張り切った従魔達

「すみません、オリガにマリリさん」

「いえいえ、全然大丈夫ですよ」

「それに、正直寝てられない事ですし」


 屋敷に戻ると、オリガとマリリさんも協力してくれる事に。

 リンも手伝ってくれるらしいので、仮眠の準備をしている。

 さて、俺も仮眠するか。


「で、何で皆寝ているんだ?」


 寝ようと思って部屋のベットに向かうと、子ども達に加えてマシュー君やコタローにマチルダも寝ている。

 ついてくる気満々の様だけど、恐らく起きられないな。

 ということで、俺はソファーで寝よう。


「やはり、皆起きませんでした」


 仮眠から起きると、子ども達は未だに夢の中。

 皆特に気にしていなかったエステルも、やはりグースカと寝ている。

 食堂で軽く食事を取って、夜警に出発。

 メンバーは俺とリンとオリガとマリリさん。

 ホワイトとタラちゃんとバハムートに、スラタロウ率いるスライム軍団。

 ポチは参加するが、サファイアは夜目が効かないのであえなく断念します。

 そして、やる気満々の馬が二頭。

 正直、馬二頭でどうにかなりそうな気がする。

 騎士の詰め所に行って、巡回の流れを確認。

 この後、零時から五時まで行います。

 ということで、巡回スタート。


「あ、あれは強盗だな」

「じゃあ、ちゃちゃっと捕まえてくるね」


 巡回を開始して僅か五分。

 商店街の裏通りで、商店に忍び込もうとする盗賊を発見。

 タラちゃんとポチによって、あえなく御用となる。

 直ぐに詰め所に引き返して、巡回を再開。

 

「今度は喧嘩だね」

「拘束してきます」


 酔っ払い同士の喧嘩があったので、オリガとリンがササッと拘束。

 またもや詰め所に戻って、酔っ払いを引き渡す。


 さて、巡回を再開しようと思って詰め所を出ると、馬がとても怪しい男を引きずってきた。

 更にバハムートがやってきて、男をくわえている。

 ついでに言わんと言わんばかりに、スラタロウ達のスライム軍団が現れて男を連れてきた。

 全員、売人と思われる人物だ。


「確か、拘束対象は三人だったはず」

「もしかして、これで終了?」


 俺は思わずリンと顔を見合わせた。

 王妃様が行った売人への尋問の結果、逃走しているのは三人。

 それが、夜警開始三十分で確保された。


 念の為にスラタロウにこの後どうするかと聞くと、他にも犯罪者がいたから五時まで頑張るという。

 馬もホワイトも同じなので、俺達も五時まで活動することにする。


「今度は居酒屋でのトラブルか」

「うーん、この金額はぼったくりかも」

「というか、王都では居酒屋の営業時間は零時までのはず」


 今度は店と客のトラブルから、違法営業の居酒屋の摘発に繋がった。

 人神教国とは別の犯罪者組織が、この居酒屋を運営していた。

 経営者や従業員を捕縛し、騎士を呼んで調査させる。


「お次は違法賭博ですか」

「結構な金額がかけられていますね」


 続いては違法賭博場の摘発。

 建物の一箇所に悪の反応が沢山あったから、直ぐに何かあると分かった。

 タラちゃんとポチが、あっという間に中の人を拘束して修了。


「何だか色々とありますね」

「巡回を継続して正解でした」


 その後も窃盗団や闇ギルドを摘発したかと思えば、軒先で寝ている浮浪児を保護したりと色々あった。

 スライム軍団なんて、三十人規模の犯罪者組織を一網打尽にしたりしている。

 馬も次々に犯罪者を引きずってくるし、バハムートに乗ったホワイトも同様だ。

 お陰で、騎士の詰め所はてんてこ舞い。

 収容人数も超えたので、急遽軍の収容所も使うことになった。

 そして五時。

 少し早めにきた騎士が、捕縛した人物の数に驚いていた。

 すみません、うちの馬とスラタロウとホワイトが張り切っていました。

 頑張ってとっても良いことをしたと、いい表情になっている。

 ということで、俺達は解散。

 俺はちょっと寝て、王城に出勤だ。


「「「「なんで起こしてくれないの!」」」」


 部屋につくと、子ども達が夜警に連れて行ってくれなかったと猛抗議。

 いや、最初から子ども達は夜警に連れて行かないと言ったはずだぞ。

 煩く騒ぐ子ども達を部屋の外に出して、ちょっとだけの睡眠に入った。

 ちなみに、エステルはいつもの時間までぐっすり寝ていた。

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