第7話 ペロル、ドラゴンスレイヤーになる
「もっ申し訳ありません。すぐに報酬の準備をいたします」
そう言うと、受付嬢はカウンターの奥へと戻っていった。ペロルは受付嬢を待っていると、冒険者と思われる男性から声をかけられる。
「お前、見ない顔だな。新人か?何やったんだ?」
これはお約束のパターンだ。とペロルは歓喜した。そしてテンプレ通りに返す。
「ドラゴンの討伐」
そう言った瞬間、冒険種ギルドはどっと沸いた。みんな大爆笑である。それもそのはずこの辺りはわりと平穏な部類でドラゴンなんて魔物が現れるはずもなかった。誰しもが冗談を言ったと思って笑っているのだ。まあ冗談なのだが。
「ペロルさん。お待たせしました。依頼料の受け渡しです。こちらに来てください」
ペロルはカウンターに向かうがその途中で先程声をかけてきた冒険者が口を挟む。
「ミーシャちゃん。こいつ何やったの?」
「手紙の配達ですよ」
それを聞いた冒険者たちはもう一度吹き出した。ペロルは笑っている連中を放っておいて報酬を受け取る。金額は銀貨二枚と少なかったが手紙の配達しかしていないのでこんなものだろう。
「次は北区の手紙を配達しようと思うのですが」
そう言うと受付嬢のミーシャさんは嬉々として手紙の束を取りに向かった。
声をかけてきた男は笑い疲れていた。それでも声をかけてきた。
「昼からも仕事頑張れよ。ドラゴンスレイヤー」
「おう。任せとけ」
そう言って男とは別れた。とても気のいいおっさんだった。
そのやり取りを終えた時にミーシャさんが手紙の束を持って戻ってきた。ペロルはそれを袋へ詰め込みさっさと出発する。北区を選んだのは仮の通行証を返すためと宿屋を探すためだ。
ペロルは駆け足で北区の門まで走った。
所変わって街門である。門番はまだ変わっていなかったのでペロルが近づくと門番が反応を示してくれた。
「おう。兄ちゃん。身分証は作れたか?」
「作れたよ。ほら。そんでこっちの仮の通行証は返すよ。あと通行量はいくら?ちょっとは稼げたから払えるようなら払っておくよ」
「ああ。銅貨三枚だ。払えるのか?」
心配そうにこちらを見てくる門番に銀貨一枚を渡した。思わぬ大金に門番をちとばかし驚いたが銅貨七枚を返してくれた。
「それだけ稼げれば何とか食いつないで行けそうだな。じゃあ地図の件忘れないでくれよ」
そう言って門番はペロルを見送ってくれた。
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