第382話

「うーん。俺の信者?に関してはどうしましょうかね?厄介な信者は俺が何か言ったところで逆効果になりそうな気もするし……だとしても周りに迷惑かけちゃダメだよ?とは発信するつもりだけど」


……最終手段は〈精神支配〉を使ってしまうか。

ホントのホントに最終手段だけど。


「まぁ、信者?の対応を考えるより先に俺に何が起きたのか説明しなきゃですね。あぁ、後あの転移魔法が他国が使ったてのは正解ですよ?まぁ、その国は地球上に存在しない。異世界に存在する国ですけど。という訳で俺とソフィアは異世界に召喚されたんですよ。何やかんやあって地球に帰って来れたんですよ。次いでに俺とソフィアより前に召喚された日本人がいたので現地の奥さんたちと一緒に連れ帰って来たりもしました」


それを聞いた河村さんが宇宙猫のような虚無顔になる。


「それで問題なのは、この事をどう発表するかなんですよ。既に無かったことにはできないレベルの騒ぎになっちゃってるでしょ?

最初は、ダンジョンで手に入れた転移アイテムの暴走とか言っとけば良いかなって思ったけど。それだと、ダンジョンで手に入れたアイテムの規制が厳しくなっちゃいそうじゃないですか?」


ダンジョンで手に入れた物が暴走する可能性があるってなったら、今よりも持ち歩きとか厳しく規制する必要が出てきちゃうでしょ?


まぁ実際暴発と関係なく危険なアイテムは沢山あるんだけどさ。


それに、ダンジョンのアイテムの暴走って事にするなら秀明さん達の事をどう説明すれば良いの?って話になっちゃうからね。


秀明さんたちも俺と一緒に桃源郷から出てきた所を報道陣たちにバッチリ見られちゃっているからな。

別件で対処するのも難しそうだし。


そうなると、ある程度正直に話した方が楽だと思うんだよね。


当然一から100まで正直に話すつもりは無いけど。


「あぁうんそうだね。ティル・ナ・ノーグや魔女の件もあるし。異世界に行ってましたと言っても真っ向から否定はされないだろうね」


ティル・ナ・ノーグの件はさておき魔女の件は本人が箒に乗って日本に来るために大暴露した訳で俺関係ないと思うよ?


いやまぁ、ベアトリーチェさんがそこまでして日本に来たがった理由は俺なんだけど。


そう言えば、ソフィアに着せるゴスロリ系の服の進捗どうなってるかな〜

異世界で何日も過ごしてきたから少し感覚が可笑しくなっているけど。

実際にはディメンションルームに設置する家具を買った日から一日も経過してないから、そこまで進んでないだろうな。


そう言えば、EG国までバステト神に会いに行かなきゃ行けないんだった。

それも今週の金曜日出発。

なんか俺忙しすぎない?


自分から予定詰め込みまくっているのは否定できないけど……


「あぁ、そうそう。異世界から連れ帰って来た日本人の秀明さん。この人のお母さんが病院に入院中みたいで、治療だけ先にしちゃいたいんですよね。秀明さんはその為に地球に帰って来たみたいなところもあると思うんで」


「え?あぁ、うんそのぐらいなら……」


「で、問題なのが。地球と俺たちが行っていた異世界の時間の流れが違うんですよ具体的に言うと異世界で40日過ごしても地球じゃ1日しか経過しないんですよ。で、秀明さんそんな異世界で9年ぐらい暮らしてたんですよ。地球換算だと80日前後しか経ってないんですけど。秀明さんはしっかり9年分歳をとっているんですよ」


「つまり、現在入院している彼の母親からしたら、約80日前に突如行方不明になった息子が突然9歳も歳を重ねて帰って来たと言うことになると……」


「そうなんですよ。言葉で言ったって信じて貰えそうにないでしょ?何時も俺に振り回されている河村さんと違って」


自分で言ってて河村さんが可哀想になってきた。

だからと言ってこれからも河村さんのお世話にはなるんだけど。


こういったことを報告しない方が後々河村さんが今以上に苦労する事になるし。


「実際、そうなんだから根気よく説明して信用してもらうしか無いんじゃないか?本人同士しか知らないような話をしたりとか。そうやってある程度信じて貰えた後はDNA検査で本当に息子なのか証明するとか」


それが一番現実的か。


「なんと言うか『2ヶ月半前に行方不明になった息子が9歳も年をとって帰ってきました。ついでに沢山の奥さんを連れて』って題名でラノベかけそう」


息子や息子の奥さんたちに振り回される母親が主人公の話だな。


まぁ、レベルシステムやスキルシステムが導入されている時点でラノベの世界だし。

今更だな。


「で。出来るだけ騒ぎにならないように。再会させて上げたいんですよ」


「SCSFだけでどうにか出来る話じゃないけど。まぁ、仕方ないやらない訳には行かないし。協力させて貰うよ」


そう言って、河村さんと秀明さんが話を始める。

俺も手伝える事は手伝おう。

結局、異世界に行ってた下りをどう発表するか全く話してないけど。

まぁ、秀明さんの母親の病気を治してから改めて話せば良いか。



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読んでいただきありがとうございます。





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