第287話

「ようやくホテルから出られる」


A国軍が鑑定スキルを使い他国の要人のステータスを覗き見して、不正に入手したとして炎上していたのがようやく治まってきて予定から数日遅れでパワーアーマーの発表会が行われることになった。


取り敢えず、実行した本人と実行するように命令した人に罪を押し付けてトカゲの尻尾切りした感が凄いけど。


よく数日でパワーアーマーの発表会をできる所まで持ち直したなと思う。


ここ数日、時間が有るからってホテルの外に出る訳には行かないしゲームの縛りプレイをして時間を潰したけど。

いくらゲームが好きでも、外に一歩も出ないでゲームをずっとするのは流石に飽きて来ていたので丁度良かった。


ホテルの入口で日本の出席者の人達と合流して、会場に向かって車で移動する。


会場はA国軍基地だ。模擬戦をやる訳だし、こう言う場所が会場になるのは当然だろう。


それにしても軍人同士がピリピリしているというかお互いに警戒しあっている?


何でだろうと考えていると、楓さんは内部告発として匿名で他国の要人のステータス情報を勝手に集めていますよって漏らしたんだったな。


そのせいで、軍人同士の関係が悪くなっているのか。

情報を漏らした犯人探しに躍起になっているのかも知れないし。


楓さんの事だから本当に内部告発で情報が外部に漏れたって思うように誘導しているだろうし。


俺が何かする訳にも行かないし、特に何もせずに指定されている席に座る。

招待客が全員着席して報道陣の入場も終わったところで、パワーアーマーの発表会が始まった。


最初からパワーアーマー本体がお披露目される訳でなく、A国の要人の挨拶から始まり。

先のスタンピードでどんな活躍したのか誇らしげに説明される。


取り敢えず真剣に聞いている風を装っているけど、そろそろ飽きて来たな。


「それでは。ドミニオンアーマーに登場していただきましょう!」


進行役がそう言うとA国のヒーローものに出てくる金属鎧の様な装備が3機纏まってこちらに向かって飛んでくる。

ぶっちゃけ見た目に関しては、スタンピードで活躍したんだからある程度知っていたけど。

実物を見るとアレを作った人の技術力どうなってるんだろうと言う疑問が更に大きくなった。


ああ言った装備を作る専用のスキルを手に入れたと同時に、作り方の知識も手に入ったとか?

飛行速度は決して早いとは言えないけど。

飛んでる感じを見ている感じ、かなり安定している感じがするし。

装備ひとつで飛べるってのが既に凄いと思う。


ドミニオンアーマーが着陸すると、今日一番の拍手が起きる。

ドミニオンアーマーの装着者たちも手を振って拍手に応える。


ドミニオンアーマーが登場したから早速模擬戦が始まるのかなって思ったら、その前にドミニオンアーマー達が的に向かって攻撃をするデモンストレーションが始まった。


飛行機能があって、手のひらからエネルギー砲やエネルギー弾を発射したり、手の甲の部分から刃渡り50cmぐらいのエナジーブレードが生えて来たり。

かなりの完成度だと思う。


ドミニオンアーマーの完成度をしっかりと見せつけたデモンストレーションが終わり、模擬戦が始まる。


1回戦目は勝彦の従魔サティとドミニオンアーマーだ。


「ようやく楓さんの作った装備がどんな効果を持っているのか実際に見ることができる」


結局、一度も使っているところを見れて無いからな。


戦闘が始まったと同時にドミニオンアーマーは上空に飛び上がって、上空からエネルギー弾を使って地上に攻撃を開始する。


上空からなら一方的に攻撃出来ると踏んだのかな?


サティはステップでエネルギー弾を回避しながら、雷をドミニオンアーマーを飛ばす。


雷はドミニオンアーマーにクリーンヒットするけど。ダメージは無さそうだ。


雷対策はバッチリしてあるようだ。


と言っても、サティが飛ばしたさっきの雷は取り敢えずで飛ばした威力も大して高くないものなので、サティの本気の雷を完全に防げるかは、まだ分からない。


と言っても遠距離攻撃手段が雷を使ったものしかないサティからしたら少し戦いにくい相手か。


本来は、相性の悪い敵は他の従魔に戦ってもらうのが良いんだけど。

今回はサティとドミニオンアーマーの一騎打ちだからな。

そもそも、フユは日本でお留守番だし。


俺たち以外は、ドミニオンアーマーが勝つと思っている雰囲気だ。


このまま戦っても最終的にはサティが勝つと思うけどね。


それに楓さんの作った装備の効果だってまだ使ってないし。


そう思っているとサティの巻角につけられた装備品がピカッと光り雷で作られたサティの分身が4体現れる。


分身の体は雷だからか、地面を走るように空を駆ける。

分身たちが4方向からドミニオンアーマーに近づいて行く。


分身たちはエネルギー弾を避けているのでエネルギー弾を当てれば、分身を消すことが出来るのかも知れないけど。

4方向を同時に対処する事になるので、弾幕が薄くなり結果、4体全員の接近を許してしまう。


と言っても相手は雷対策バッチリのドミニオンアーマー。

雷で出来ている分身達は、ここからどう攻撃するのかと思ったら。

分身の一体とサティ本体の位置が一瞬で入れ替わった。


サティ本体がドミニオンアーマーに体当たりをして地面に叩き落とした。



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読んでいただきありがとうございます。


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