びわこ花噴水
お船の後は、噴水、かな。調べてみたらびわこ花噴水っていうらしい。かなり高くまで上がる噴水なんだとか。すごそう。
琵琶湖ニキさんに場所を聞いて、転移で移動。せっかく飛べるんだし、高い位置から見てみたい。
そう思ったんだけど。
「あれ? やってない?」
『マジで?』
『調べてみた。リタちゃん、その噴水、時間限定だ。次は十八時』
「あ、そうなんだ」
大きな規模の噴水みたいだし、やっぱりずっとやってるわけにはいかないってことかな。ちょっと残念だけど仕方ない。
それじゃあ、代わりに別の何かを見に……。
『まった! あと五分待って!』
『おん?』
『なんだなんだ?』
『事情説明してきた! 配信を見せてきた! すぐに動かしてくれるって!』
『おー!』
『誰かは知らんけど有能さんだ!』
ん……。動かしてくれるみたい。ちょっとだけ迷惑かけちゃった気がするけど、お言葉に甘えよう。やっぱりせっかく来たんだし、見てみたいから。
その場でのんびりと待つ。今日はよく晴れていて、空を飛ぶのも気持ちがいい。風もいいよね。
そうして待っていたら、水が上がり始めた。最初は弱く、そして大きく。結構高く飛んでたつもりだけど私の方まで届きそうになったから、ちょっとだけ移動。
「おー……」
本当に大きな噴水だ。今まで見た公園の噴水とは全然違う。こんなに高く上がる噴水があるんだね。ずっと高くまで飛んでる。おもしろい。
『これなにげにすごい映像では?』
『噴水のど真ん中から見るなんてあんまりなさそう』
『せっかくだし一番てっぺんから見ようぜ!』
「ん。そうだね」
今はちょうど真ん中ぐらい。もう少し高く飛んで、噴水のてっぺんへ。ここから見ていると、これはこれでなんだか不思議な光景になってる。
水は……ちょっと冷たい。気持ちいい。
『地上から写真撮ろうとしてるんだけど、リタちゃんが微かにしか見えない』
『同じく。一応拡大すればリタちゃんって分かるかな?』
『もうちょっと低く飛んでほしいな!』
わがままだなあ……。別にいいけど。
もうちょっと、低く。写真を撮りたいみたいだから、湖側じゃなくて陸側を飛ぼう。これぐらいかな?
『撮れた! ありがとう!』
『仕事抜け出してよかった。職場で自慢してくる』
『あかんやつがおるw』
『仕事しろwww』
お仕事しないのはだめだと思う。ちゃんとやらないと。
噴水、これもなかなかいいものだった。豪快で、迫力いっぱいだ。
『ちなみに夜の方がオススメ』
『ライトアップされてめちゃくちゃ綺麗』
『むしろそっちがメイン』
「へえ……」
それは、ちょっと見てみたいかも。んー……。
「暗くしたらやってくれる?」
『なんて?』
『何するつもりなんだこの子』
『確認した。おっけーです』
『さっきから絶対内部の人いるだろ!?』
やってくれるらしい。それじゃあ、ちょっと魔法を使う。
まずは、周囲一帯の人に声を届ける。あまりうるさくしたら迷惑だろうから、聞こえる程度の声で。
「ちょっとだけお日様を遮断して暗くする。気をつけてね」
『うわなんかリタちゃんの声が聞こえてきた!?』
『なにこれすげえ』
『現地民がめちゃくちゃ羨ましいんだが!?』
これでいい、かな? それじゃあ、まずは魔法で不可視の壁を作る。ちなみに触ることもできないから、移動とか普通にできるよ。
さらにその壁でお日様の光を遮断すれば、できあがり。夜みたいに暗くなった。
『すっげえ真っ暗』
『こんなこともできたんかよ』
『万能すぎん?』
魔法の中ではやり方さえ知っていればわりと簡単な方だけどね。
少し待つと、すぐにライトアップというのが始まった。
「おー……」
すごい。噴水に色がついてる。オレンジ色だったり緑だったり。あとは、透明かな? 噴水そのままの色だけど、光だけ当ててるみたい。
確かにこれは、すごく綺麗だね。
「なんだっけ。たーまやー?」
『それは花火やw』
『以前面倒な伝染病があった時は花火の代わりにこの噴水だったなあ』
『これはそれだけの価値があるわ。めちゃくちゃ綺麗』
うん……。すごく、綺麗。思わずじっと見てしまう。来てよかった。頼んでみてよかった。
この近くに住んでる人は毎日これを見れるのかな。ちょっと羨ましいかも。
「ん……。ありがとう。それじゃあ、戻すね」
『あいよー』
『いやあ、これはよかった!』
魔法を解除して、光を戻す。これでよし、と。
「満足。それじゃあ……あとはどれに行こう」
『赤こんにゃくとバウムクーヘンだっけ』
『バウムクーヘンはお菓子だし、まずは赤こんにゃくかな?』
『ちなみに赤こんにゃくといえば八幡市です』
『戻るんかいw』
噴水の前に行けばよかったかな? とりあえず、また八幡市に転移しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます