第22話 せんせ~、ピッチャーやらせてみたらあ

 皆川エース投球ピッチングが乗りに乗ってきたので補欠組は手も足も出ない。7番の新1年・大貫はかすりもせず3球三振、8番の新1年・田中も9番の池田も三振で10球で5回表を終えた。

 花壇席でランチをしながら見ていた美術部の部長・森本麻衣子には退屈な試合になってきたので三塁サードの守備に戻ろうとしていた麻矢助っ人

「山鹿っち、つまんないよ、みんな打てないし」とフェンス越しに不満顔。そこへ通りかかった広津先生を麻衣子が呼び止めた。

「せんせ~、紅白戦は何回までなんですかあ?」

「全体が見えてきたんで、今度のレギュラー組の打ち終わりまでかな」

「そしたらあ、山鹿っちに投手ピッチャーやらせてみたらあ」~それは広津も考えていたことで~守備に就こうとしていた麻矢助っ人を呼び止めた。

「山鹿ちゃん、ちょっと」

「…?」

投手ピッチャーやる?」

「いいんスか」

「真ん中でレギュラーに打たせてやってくれ」

「喜んで!」


 広津が主審アンパイアに戻ると「補欠組は投手ピッチャー三塁手サードを交代。山鹿が投手ピッチャー、池田が三塁手サードに」と指示したので、捕手キャッチャー・森伸治が慌ててマウンドにやってきた。

「美術部の…、変化球あんのか? というか、できるのか?」

「草レベルだけど。ゆるいカーブでよかったらその時だけサインよろしく。練習球は3球で」

 山鹿麻矢助っ人はそう言って森を追い返し、投手板プレートの位置決めと踏み出す左足の位置を確認しながら軽く3球投げた。

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