第9話 ビジネスの話
私はニコリと笑みを浮かべ「じゃあ始めましょうか」と告げた。彼……ソアレは少し不思議そうな表情を浮かべたあと「……何をするつもりだ」と問いかけてきた。
「ビジネスの話ですよ。」
「ビジネス……だと?」
「えぇ。貴方達神父は吸血鬼を殺すのが仕事でしょう?まぁそれはそれで迷惑なのだけれど……最近ある連中のせいで私たちは余計に迷惑してるのよ」
「ある連中だと?」
「えぇ。【混血種】の吸血鬼よ。彼らはその辺に食い散らかして行くんですもの。おかげでこっちはやっても無いことで噂が立てられているんだもの……」
「そこで吸血鬼を退治している貴方……いえ、あなた方に頼もうとお嬢様が。」 リートがニコリと笑みを浮かべながら言えばソアレは信じられないとでも言いたげな表情を浮かべた。
「勿論、報酬は払うわよ。私からだとバレないように手も回してあげる。どう?貴方達はお金も手に入って混血種の吸血鬼も退治できる。美味しいお話だと思うけど?」
「……あぁそうだな。それは俺達にはメリットだ。だがお前らになんのメリットがある。聞いたところ何も無いじゃないか」
「そうね……少しばかり人間を狩っても見逃してくれればいいわ。それか適当に混血種になすりつけても構わないわよ。どうかしら」 その言葉を聞いたソアレは少し悩んだ表情を浮かべながら「……一旦考えさせろ。」と答えた。私とリートは頷いた。
「期限は……そうね2日後の夜。またここで会いましょう?あぁ勿論あの赤い神父さんには何も言わないこと。言ったらこの話は破談とさせてもらうわ。」 そう告げればソアレは頷き踵を返して教会がある方向へと歩いて行った。私は小さく息を吐き壁にもたれ、「これからが楽しみね」と呟いた。
「それはそうとお嬢様。」
「何よ。」
「オスクリタの方へはいつお戻りに?あちらの大臣にも1度顔を出しておかないと……」
「そうね……気が向いたら帰るわ。今はこの取引がどうなるか……そっちの方が面白いでしょう?リート」
「……かしこまりました。お嬢様」
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