第5話 戦闘


月明かりに照らされながら私達は夜の街を歩いていた。目的は1つ。神父狩りをする為。そして……血を飲む為。その目的の為に私達は歩いていた。


「ねぇリート。確かこの辺りよね?神父が見回りを強化した地区は。」


「えぇお嬢様。混血が食い散らかすので神父は見回りを強化したようで……」


「その神父が見当たらないじゃない……」


「そうですねお嬢様」そう話しているとリートがピタリと足を止めた。私は首を傾げ「リート?」と問いかければリートは上を見上げ「居ましたよ」と告げた。私もつられて上を見上げれば赤い髪を三つ編みにし、胸元には十字架、そして黒のカソックを身に纏った人物が立っていた。「……見つけた……神父っ……!」私はその神父を睨みつけ短剣を抜いた。


「お前……その髪と瞳……吸血鬼だな?」


「えぇそうよ。あと降りてきてくれる?私見下ろされるのが嫌いなの」


「害虫が……」そう彼が呟いたあとスタッと降りてきた。私は一言「リート。こいつは私の獲物よ。手出ししないで」とリートに告げた。リートは頷き「かしこまりました我が主」と告げ1歩後ろへ下がった。



「さて神父。貴方名を名乗りなさい。特別に許可して差し上げるわ」


「はっ!誰が害虫如きに名乗るか。」


「さっきから害虫害虫と……貴方が言う害虫は【混血】の事でしょう?私をあんな下等種と一緒にしないでくれるかしら?迷惑よ人間。」


「……俺にとっては混血だろうがなんだろうが同じだ」


「あら……失礼ね。」私がクスリと笑ったあと彼は銃を取り出し1発こちら側へ打ってきた。それを私はヒラリと交わしたあと「……フローレスが長女……参ります」と呟き一気に彼の元へ駆け出した。 こいつらが……神父が教会が居なければ私の一族は滅ばなかった……!その事を考えながら私は短剣を振りかざした。するとガキンと鋭い音がして私は目を見開いた。 そこにはもう1人、神父がいた。



「ローアルさんお怪我は!?」


「あぁ。大丈夫だ」


「貴様っ……よくもローアルさんを……!」そう言って彼は私を睨んできた。私はため息を吐き「邪魔よ下劣な人間。」とひとこと言い放った。するともう1人の神父は「この……人間を襲う卑しい化け物め……!」と怒鳴り私に斬りかかってきた。 がそれはリートによって阻止された。


「貴様……今お嬢様に向かってなんて言った……?卑しい化け物だと……?なら貴様らはどうなんだ……!」


「なんだと……?」


「お前達さえ居なければ先代は……フローレス家は滅ばなかった……!」その言葉を聞いて私は唇を噛み締めた。神父が私の父を……母をそして妹を奪った……!


「リート。その神父は貴方の好きなようにしなさい。私はこの赤髪の神父さえ狩ることが出来れば十分だもの」


「えぇお嬢様。お任せ下さいませ」



「「さぁ狩りの時間だ」」 私達は声を揃えて告げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る