第3話

「拘束術:魔糸捕縛」

「あ?」


魔力の糸で雁字搦めにされた…?

本当に拘束術か?


いや、それよりも…誰だ?

リースベルトじゃ今の俺は止められない筈だが…


「クラム、流石に人殺しは…ね?」


…ふむ?これはもしかして決闘の時は実力を隠していたのか?


そうでもなきゃ復讐鬼状態の俺を一時的にでも止められる筈がないからな


「リースベルト、なぜ止めた?」

「唯一の友人を人殺しにしたくなかった」


…なるほど、それでか

だけどなぁ…


「残念だがこいつを事故死として処理できるのは今だけなんだよ」


俺を縛る魔力の糸を引きちぎり

リースベルトが俺を止める前にこのアホの頭を掴む

そして…


「…絶望:絶恐」

「やめろ!離せ!手を離せ!嫌だぁぁぁ!!!」


軽く頭に手を添えると突然発狂しだす

恐らく絶恐の効果で幻覚を見ているのだろう


「俺の友人の慈悲をありがたく思うんだな」


まだイライラした状態で吐き捨てる


「…クラム、後でお礼するね」

「…?分かった」


お礼ってなんだ…?

でもお礼だからヤバい事では無いだろ!

とりあえず分かったって言っとこ


ーーー


「…ねぇ、クラム、俺と…シよ?」

「なんでぇ…?」


そうはならんやろ


「クラム、俺のことかわいいって言ってくれたからだからこうすれば喜んでくれるかなって…」

「おかしい!おかしいって!何でそうなる!?」


もっと出来ることあっただろ!?


「お母様やお姉様もその美貌だけは立派だから男を喜ばせるのに役立つ、って…」

「…そうか」


いやぁ…家の事情かぁ…

そこそこ良い貴族の出なのになんでいじめられてるのかと思ったが…


まさかの妾かなんかの子とはなぁ…

この感じは母親側には冷遇されてるし父親側は見て見ぬふりをしてる感じだぁ…


「俺はお前の頑張りは否定しない、否定しないが…

そう簡単に自分の体を使うな、自分は大切にしろ」

「うぅ…ごめん、それと、俺の事を心配してくれてありがとう、やっぱりお前優しいよ」


心配してくれてありがとうねぇ…

こんな当たり前の事にも感謝するのかぁ…


う〜ん、大丈夫かなぁ…こいつ

誰かに依存してしまいそうな危うさがあるなぁ…


「はは、その姿で言われると照れるな、これからも宜しくな、リースベルト」

「…!うん!宜しく!クラム!」


ーーー


いやぁ…いつも道理の学園、晴れ晴れとした空

素晴らしい一日だなぁ…リースベルトが女装している事を除けばな!


「…なぁリースベルト?何で女装して学園に?」

「グラムがかわいいって言ってくれたから」


?????????


「え?いや…は?なんで?なんでそうなるの?」

「グラムが好きだから」


俺が隙?鋤?好き!?!?!?


「…その好きってのは、友愛だよな?」

「…ううん、恋愛…だよ」


…これマジ?

唯一の友人がメス堕ちしたんだけど


「なぁ、リースベルト」

「リース」


「…?いやだからリースベルト、お前の…」

「リース」


「…リースって呼べってこと?」

「ん」


「…リースベルト、お前のそれは勘違いだ、冷静になれ、男同士だぞ?こんなこと辞めよう、な?」

「リース」


「…リース」

「何!?」


「…リースベルト」

「…」


「…分かった、分かったよ、リース、それは勘違いだから冷静になって考え直してくれ」

「やだ、俺は絶対一回クラムと、その…エッチするまで女装は辞めないから」


は?女装を辞める条件が中々にヤバいんだけど?

これ本当に大丈夫なやつ???


「分かった、とりあえずなんで一回ヤるまで女装を辞めたくないんだ?それだけ教えてくれ」

「え?一回でもエッチすればそれをネタに相手を脅せるって本当の母様が…」


まてやゴラァ!えっ、えっ!?

お母様何を教えてるんですか!?!?

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