さよなら、丁未の夏

黒蜜きな子

プロローグ

あの夢を見だしたのは、いつ頃だっただろうか。


そう、あの日だ。


あれは、小学一年生の夏。


ふとテレビを見ると、歴史のドラマだった。


まだそのころ漢字が読めなかったので何時代かはわからなかったが、


戦っているというのは分かった。


その時、急にその光景に既視感を覚えたのだ。


そして、気分が悪くなって、気を失うように、そのまま寝てしまった。


その時見た夢を、今もはっきりと覚えている。


さっき見たドラマの続きのような、そんな夢だった。


でも、どこか違う。


テレビからみたように、ただただ外から見ているような視点ではなかったのだ。


さっきの戦場にいて、戦っていた。


そして、弓を引いたその時、矢が飛んできて——。


と、そこで目が覚めた。


気づけば、冷や汗をかいていた。


それからだった。あの悪夢を見始めたのは。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る