触ってみよう!

「あれ、本当に<雪だるま>?」


 下から顔を覗き込む形の小柄な真瑠さんを、長身な樹由さんが見下ろします。


「意味不明なんだけど??」


「形は<雪だるま>でも、材料が 雪じゃないんじゃないのかって事!」


「じゃあ、何だるまなの?」


「─ 発泡スチロールを、そう言う形にしたとか」


「発泡スチロール…だるま……」


 ふと、自分の腕を掴む手が離れている事に気が付く樹由さん。


「触ってみよう」


「え?!」


「そうすれば、何ダルマか判るよね?」


「あんな── 怪しいものを、触るの??」


「たかが、素材不明だるまじゃない」


 再び真瑠さんに手を伸ばすスキを与えないように、素早く歩き出します。


「じゃあ、触ってみるね」


 あと1歩の位置まで進んでしゃがみ込んだ樹由さんは、<雪だるま>の表面に触れるべく指を伸ばしました。


「うん。これは、雪だわ☆」

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