(幕間)如月健斗の前世(設定大幅変更ver)

 俺は、男子高校生でエロ漫画を生業としていた先生のアシスタントの末端だった。ただ、その先生の漫画も、最近——完結してしまい…末端の俺が再就職先など探せるはずなく…路頭に迷う生活を送っていた。




 ——目を覚ますと…視界に映ったのは知らない真っ白な天井…に加え、無職だった俺自身が、やや固いとはいえ…布団の上で寝転がっている!?




 その事実に気づき、上半身を起こし周囲を確認すると——天井以外の部分は青色ブルーで、木製の机と椅子…扉付近に鏡がある。




 その鏡で自身の容姿を確認すると、俺がアシスタントしていた先生のエロ漫画『めす堕ち』の世界の主人公の如月健斗へ転生してる…だと!?




 まぁ…アシスタントといえど…俺は先生の生活担当…謂わば、買い出し等がメインのパシリも同然だ。




 ——先生は優しかったけど…他のアシスタントにはマウントを取られ続けたため、いい思い出はないがな…。




 そんな俺みたいな底辺アシスタントでも、少しくらいは知っている。この『めす堕ち』がハーレム物で個性豊かな美少女から美女と色々できることを——




 先生に間接的にアシスタントへ意見を求められた時に、性的描写の部分と冒頭の部分のストーリーまでは読んだことある。だから、少しは俺も知っている。





 ◆◇◆◇




 常識に沿って考えれば…エロ漫画の世界に俺以外に日本人がいるはずがないだろう。




 そのため、日本に住んでた頃のような髪を長めに目元を隠してた過去の自分を捨てて、オールバックにして…服をわざと着崩し…学院とやらへ足を運ぶ。



 ——おー、本当にエロ漫画の世界だ。すげえな…っとあの子は…見たことあるな。




 俺の視界に映ったのは、桜の木に背中を預けて、遠目から、優しい眼差しで新入生を見守る美少女…確か、名前は黄泉穂花だったか…?




 ——現実で見ると…半端じゃない。彼女の眼差しに加えて…滑らかな胡桃色ライトブラウンの髪に舞い散る桜の花弁が彼女を引き立たせる。そんな花弁に鮮やかな水色スカイブルーの瞳で微笑みかける。そんな幻想的な姿をしていた彼女に一瞬で俺は…目を奪われた…。




 これでリア充になるんだと…ライトノベルで流行った壁ドンならぬ桜の木をドンしながら、彼女に精一杯のキメ顔をして、俺の女になれと告白する。



 ——女の子は確か…俺様系が人気だったはずだ…。それに俺はこの物語の主人公、断られるはずが… 

「お断りします♪」

 目の前の彼女から発せられたであろう言葉に思わず、耳を疑う。——振られた!? しかも、こんなに大勢の前で…!? その事実が重くのしかかる。




 煮えたぎる様な怒りが沸々と込み上げ…彼女に手を振りかざそうとした瞬間——あまり好みではなかったもう一人の紫色パープルのボブカットをしたヒロインに止められてしまったけど…な。




 その後、完全に頭へ血が上った俺は…罵詈雑言を浴びせ…駆け寄ってきたギャラリーの多さで逃げてしまう。




 ◆◇◆◇



 こんな理想的な世界に来ても、結局…ダメな奴はダメな男のまま変われないのか——そう考えながらも…彼女の眩しい姿を目で追ってしまう。




 ——主人公の俺を差し置いて…次々とヒロインを堕としていく穂花に嫉妬と好意で感情が爆発しそうになる。




 担任も彼女の魅力に堕ちた。それだけじゃない。月夜玲緒奈も花山陽も、彼女に好意を抱いているのは、同じ人に惚れた者であるが故に、嫌でも気づいてしまう…。




 それでも諦めきれなかった俺は、自己紹介でを理解しながらも、公開告白した。




 交流でも、素の自分のまま、質問をした。




 ——ぜーんぶダメだった。なぜか穂花の冷たい視線が快感にはなりつつあったが…それよりも…悔しかった。




 せっかくの主人公に転生したのに…惚れたヒロインに全てのヒロインを奪われてしまう…。



 そんな絶望に加えて最早、俺の事なんて眼中にないのか…とぽつんと教室に置いて行かれた現実…




 ハァ…と思わず、ため息をつき、鞄を右手に帰ろうとした時だった——




 ◆◇◆◇



 ガラガラガラガラ…教室の扉がゆっくり開かれる。



 誰だと思い…扉の方に視線を向けると、確か…リュンと名乗った…前髪をパッツンにしており、最も特徴的なのは頭の左右についているシニヨンキャップだろう…。




 ——チャイナ娘って奴だろうけど…正直…あまり覚えていないな。




「如月健斗…悔しければ、私達側にくるアル。私たちのボスであるはお前の穂花に抱くを大いに買っているアル」

 ——は!? どういう事だ…!? 創造主ってことは…先生もここに!?


 


「もう一つ…教えてやるアル。お前が契約するはずの神は、もう既にに取られているアル」

 ——つまり、俺は主人公の座を乗っ取られた!? そして、そんな俺を見兼ねた先生が…慈悲を与えてくれるのか!? なんで…!?



 その言葉を耳にした瞬間、俺の心の中にあった穂花へ抱いていた好意的な想いが全て…崩れ去り…ドロドロの嫉妬へと変貌した。




「分かってるはずアル。お前は創造主になんだアル」

 ——つまり、先生のヘルプに俺が応えろと…!?そんなのやるしかねぇ…!!

「分かった…。行こう」




 リュンは俺の返事に満足そうに頷いた後、先頭を歩く。俺はその後をついて行った。


 ーーーーーーーーーーー


 高校生の同級生→アシスタント

 好意→嫉妬ルートへ、と大幅に変更いたしました。よろしくお願いします。気軽に投稿できていたのに、なぜか…手が震えそうになることが多く…もしかしたら、更新頻度が下がるかもしれませんが、できるだけ毎日投稿を心がけます。今後とも…よろしくお願いいたします。

 


 

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