第6夜 麒麟と参鶏湯

最近はよく、ビールをごくごくと飲む。一気に3本はいく、ロングを。


行きつけのスーパーにて毎度のように6缶パックを買ってビールをストックしているのだが、私としたことが、三日前にとうとう切らしてしもうてな。ビールが切れてもうては、私の頭がキレてまう。


ということで、いざスーパーへ。

今宵からの常備ビール、どれにいたそうか。

かなりの贅沢を狙ってヱビスに手を伸ばすもよし、毎夜にちょいと優雅なスパイスをとキリンを取るもよし。これのどちらかがいいものよ、我が愛しのスタメン酒。


——悩みに悩んで、キリンにした。ヱビスは、次回にしよう。



さてはてところでさ、みんなご存知、ヱビスマークは七福神の恵比寿で、キリンマークは四霊獣の麒麟だよねぇ。拙者、種々缶ビールの中ではこの二つがお気に入りなんだけれども……。


——神じゃーん、神のビールじゃーん。

  まことに神々しい、ロゴからして。 

  ヱビスなんかもう光って見える、缶が。

  神好きの私、ほぼパケ買いなんだが。

  あ、いやもちろん!

  味わいものどごしも、申し分ない神々しさでございました!

  (個人の感想です)




そうそう、今晩はどうしてもビールが飲みたかったのだ。別のスーパーに立ち寄った時、サムゲタンのもとが売られていたのを一目見て、瞬時に口の中がビール一色になってしまった。

というわけで、麒麟ビールとともに漏れなく買ってきた、サムゲタンの素と食材ども。飢える私を幸福で満たしたまえ、存分に踊り散らせ。



キッチンの隅っこに麒麟を添えて。

食材は鶏胸肉と白菜だけである。至ってシンプル、それがベスト。

肉と菜を叩き切ったら、あとは鍋でもととともに煮尽くすのみだ。


私の思惑によって、沸騰せし五右衛門風呂の中へと投入された天使たち。

みるみるうちに顔色が蒼白となり身が柔らかくしなしなになっていくさまを、私はビール片手に薄ら笑いを浮かべながら眺める。

そうして、彼らがほどよく魅惑の悪魔に仕上がるのを、今か今かと待つのである。



いらっしゃい。

狂気の沙汰がいかなるものか、教えてやろう。まあまずは飲め、中毒にならぬ程度に。


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