第81話 逃げた先に映り出すもの
「ノイズ、モモ!」
二人の姿を見たサクラが走りだそうとした時、女の子にガシッと強く腕をつかまれた
「ダメだよ。あの子はノイズだけどそうじゃないから触れちゃダメ」
「でも……」
「あれはノイズの魔力。ソナタさんの願いを叶えるために頑張っていたのに、あなたがぜーんぶ奪い取ったノイズの力」
「ノイズの魔力?」
「そう、なんで奪い取った事になったかは後で説明するとして……」
サクラとの話の途中、ノイズを見るとモモを手に持ちページをめくっていた。それを見た女の子がサクラの手をまたグイッと引っ張った
「ほら、早く逃げるよ!」
「えっ、逃げる?」
戸惑うサクラに説明もしないまま、手を引っ張ったまま走り出した。サクラが振り向きノイズを見ると、ページを開いたモモからほんの少し光が溢れていた
「ノイズの魔力がサクラの本の中に……」
その頃、本から写されているサクラの様子を見ていたノオトが呟き隣にいるノイズを見る。視線に気づいてノイズもノオトを見るとすぐ顔を背けた
「ノイズ、どうする?」
「どうするって言われても……」
「魔力のないノイズには、どうすることも出来ないわ」
二人の話に入ってきたソナタの表情は険しく、それを見てノオトの表情が強ばる
「まあノイズの魔力はサクラちゃん次第ね。ノイズが勝手にモモを預けた責任よ」
そう言うと、サクラと女の子を映り出す本を見つめた
「どこに行くの?ノイズとモモを置いていくのは……」
「本物じゃないから大丈夫。それより自分の心配をしたほうがいいよ」
走り続けたサクラが息を切らして女の子に声をかける。大分ノイズから離れたと思い、女の子が立ち止まり、ふぅ。と一つ深呼吸をして辺りを見渡す。サクラも少し深呼吸をして息を整えていると、ふわっとそよ風が吹いてサクラの髪が揺れ、風が吹いた方を見ると、二人がいる場所から少し離れた所でノイズがモモを手に持ち立っていた。サクラがノイズに声をかけようとしたその時、モモから激しい炎が現れ、モモがユラユラと燃えはじめた
「なんで、モモが……」
「さぁ。ノイズを倒してから聞いた方が早いかもね」
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