第66話 よそ見をしている間に

「リリ、どうする?ノイズの魔力、前より強い気がするけど」

 モモを抱きしめるノイズを見て、ノオトがリリに小声で話しかけると、服の中に隠れていたリリが少し首元から顔を出した

「このまま何もせずノイズに言われた通りに動いてて」

「なにか策はあるの?」

「私、あの本の中に入りたいのよ。手伝って」

「魔力の無い世界に行く上にリリの手伝いは……」

 リリの提案にノオトが不安を言うが、それでもリリは気にせず話し続ける

「サクラは無意識に魔術を使っている。ノイズの術に影響が起きる前に、今すぐにでもサクラに会わないといけないの」

「可能な限り頑張る。けど、私の魔力は……」

「その辺は調べ済みよ。倒れるほど無理はさせないわ」

 二人が一通り話し終えノイズを見ると、モモがパラパラとページを何度もめくり、ノイズがその様子を微笑み見ている。それを見てリリがふぅ。と一つ深呼吸をして、隠れるようにノオトの服の中に入った

「気をつけて行きましょう」

 リリの声に、ノオトが小さく頷いてノイズの側へとゆっくりと歩き出した





「オンプ達のこれからの予想は?」

 その頃、ノイズ達がいる家から離れた場所にある施設では、本に映るノイズ達の様子を見て、ソナタがニコニコと楽しそうにオンプやリズムに問いかけていた

「あまりよくないですね。サクラさんの魔力や術がよくわかりませんし、ノイズさんの動きもわかりませんから……」

 オンプが不安そうにソナタの質問に答えると、リズムが恐る恐るソナタを見て話しかけた

「ソナタさんはどう思いますか?」

「さぁ、ノイズの気まぐれかもしれないし、サクラちゃんのためなのかもしれないから何とも言えないわね」

 微笑みながら答えるソナタに、オンプとリズムが顔を見合わせていると、ソナタが本を見つめ二人を手招きした

「ほら、もうよそ見なんてしている暇はなさそうよ、リリを守るためにちゃんと見張っててね」

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