第47話 気持ちを密かに歩いて
「なにこれ……」
サクラ達と別れ、ノイズの家からだいぶ離れた町の外れに来たリディとミクが目の前に広がる光景に呆然としていた。手入れされた木々や花が溢れ、綺麗だった道や家が粉々に壊され見たことのない景色になっていた
「かなり強い術者の仕業ですね。最近、とても強くなっていると聞いていましたが、これは……」
ミクが軽く周りを見渡し人がいるかを確認しながら呟くと、リディが大きく息を吸った
「ノイズ!ノオトもいるのか!」
大声で叫びながら辺りを見渡す。すぐには誰からも返事はなく、歩きながら二人を呼んでいると近くにある崩れた建物からガラッと物音が聞こえ見ると小さな影が微かに動いた
「メメ!おいっ!」
リディの声に少し離れた場所でノイズ達を捜索をしていたミクも慌てて駆け寄る。すりと、リディの手に、傷だらけでぐったりと動かないメメがいた
「私がメメを治しておくから、リディは二人を探してきて」
「わかった、ミクはここにいてて」
そうミクに言うと、大きくジャンプをして空を飛ぶリディ。離れていくリディの姿を見届けた後、ミクがメメの体に触れゆっくりと傷を治しはじめた
「結構ヤバいじゃん、オンプを呼んだ方がいいか……」
空から見ると辺り一面が瓦礫に溢れ、人の姿も見当たらない。不安になりつつも、ゆっくりと地面に降りて、足元が瓦礫で不安定になりながら歩いていく
「ノイズ!ノオト!いるのか!おいっ……」
また二人の名前を呼んで歩いていると突然口元を塞がれグイッと後ろから誰かに引っ張られた。そのまま抵抗できないまま、木々倒れていない近くの林の方へと体を引っ張られた
「リディ。静かに……」
と、聞き覚えのある声が耳元に聞こえ、塞がれてい口元も離れ、大きく息を吸いながら振り向くと、メメよりも多くの傷をつけたノイズとノオトがいた
「ふー、危なかった。リディ、大声出さないでよ」
ぼーっと二人を見ているとノイズに頬を軽く引っ張られ、ハッと慌てて周りを見渡すと、ノオトもゆっくりと立ち上がり辺りを見渡しはじめた
「リディ、怪我は?」
「ない……。っていうか、人の心配している場合かよ!」
リディがノオトに大声で言い返すと、ノイズがまた口元を押さえながらエヘヘと笑った
「私達は大丈夫。それよりメメを見なかった?」
「メメはミクと一緒にいる。今、ミクが治療しているはず」
「よかった……」
リディの言葉にノオトがホッと胸を撫で下ろした
「サクラとリリは家にいるの?」
「リリが後から来るって言ってた」
「すぐ行こう!」
リディの返事に今度はノイズが大声で叫んで立ち上がり歩こうとするノイズをノオトがガシッと腕をつかんで止めた
「待って、リリと一緒ならサクラは大丈夫なはず。サクラより私達の心配が先。ここから早く避難する方法を考えよう」
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