第6話 見知らぬ世界を知るために

 受付へ向かうため、また歩きはじめたサクラ達。どんどんと人が増え、商品を売るお店や住宅も増えはじめ、更に見慣れない景色に戸惑っていると、サクラ達の後ろから、ドタドタと足音を立てて人混みの中を走る音が響いてた。その足音に気づいていないサクラ。その足音をたてる人物が背中にドスンと当たってきた

「ご、ごめんなさい……」

 バタンと地面に倒れたサクラの背中の上に、あたふたと謝るオンプが乗っていた

「オンプ。また前見ずに走ってたね」

「はい……。ってノイズさん、いつ帰って来てたんですか!」

 少ししょんぼりしながら顔を上げると、呆れた顔をしているノイズとメメが見えて、慌てて背中から降りると

ノイズにグイッと近づいた

「たった今だよ、何かあった?」

「宿泊届け出してないですよね!ノオトさんが言ってくれたから良かったですが、みんな心配するし、困っていたんですよ!」

「あー、ごめんね」

 ちょっと怒って話すオンプに苦笑いで答えるノイズ。メメが起きようとしているサクラを心配そうに見ているのに気づいて、サクラに手を伸ばした

「えーっと、この方は?」

 オンプもサクラの背中に回り、背中を押して起こすのを手伝いながらノイズに問いかける

「サクラって名前、私の本を預けようかなって」

 と、倒れた時に落とし離れてしまった本をノイズが拾いサクラに渡しながらオンプに返事をすると、じーっとサクラの顔を見はじめた

「了解しました。ではサクラさん、私と一緒に来てください」

「私ですか?えっと……」

 オンプに言われ戸惑うサクラ。ノイズとメメに助けを求めるように目線を向けた

「大丈夫?サクラ、一人で行けそう?」

「無理に決まってるでしょ。一緒に行くわよ」

 そうメメがノイズの言葉に呆れながら言うと、サクラの肩に乗ると尻尾がユラユラと大きく揺れた

「ノオトのところは大丈夫?」

「まあ、少しなら大丈夫よ。ちゃんと説明するわ」

「では、サクラさん。行きましょうか」

 ノイズとメメの会話が終わると、オンプがサクラに話しかけ、背を向け歩きだした。少し遅れてサクラが歩きだし、その後ろをノイズが面倒そうについて歩ていく


「あの……。凄い場所ですね、見たことない人達ばかりです」

 受付へと向かう途中、サクラがちらりと周りを見ながらそう言いうと、前を歩くオンプが不思議そうに首をかしげた

「そうだね、サクラの世界にはいないね」

「あなたの世界には何にもないし出来ないものね」

「メメ、言い方悪いよー」

「あら、失礼」

 サクラの話しにノイズとメメが答えるように話していると、サクラがノイズを不思議そうに見つめている

「なに?また見たことのないものでも見つけたの?」

「いえ、それなのになんでノイズさんは居たのかなって思って……」

「ノイズって呼び捨てでいいよ。それに、サクラの世界に居たのはね」

 そう言うと、両手を上げ、うーんと背伸びをして空を見上げたノイズ。サクラ達も立ち止まりノイズを見る

「なーんにもないし、誰も居なかったからだよ」

 エヘヘと笑いながらそう返事をするノイズ。サクラとオンプがまた首をかしげ、メメはクスッと笑っている

「まあ、サクラに見つかっちゃったけどね」

 またエヘヘと笑うと、サクラの横を通りすぎ、一番前を歩きだしたノイズ。オンプが慌ててノイズの後を追いかける。二人の様子をボーッと見ていたサクラ。メメが尻尾を振ると、慌てて二人の後をサクラも追いかける




「着きました!サクラさん!あのソファーで待っていてください!」

 受付に着くなり、玄関近くにあったテーブルとソファーを指差すオンプ。テンション高く叫び、周りにいた人達が何事かとサクラ達を見る。バタバタと何処かへ走っていったオンプを見ていると、周りの人達がまだサクラを見ている事に気づいて、ノイズにコソッと話しかけた

「あの……。さっきから凄い視線を感じるのですが……」

「今は気にしないで。後で説明するから」

 そう言うと、メメを膝の上に乗せ背中を撫でてのんびりとするノイズ。それでも緊張が解けないサクラはエヘヘと苦笑いで周りを見ていると、オンプがたくさんの紙を持ってまたバタバタと走って来た

「ではサクラさん!この資料に一通り目を通してください!」

 ドンッと持ってきた資料をテーブルに置くと、オンプの後を追ってきた紙達もヒラヒラとテーブルに着いた。

そのたくさんの資料に驚いて戸惑うサクラ。ノイズとメメもちょっと困った顔で資料を一枚手に取った

「さすがにこの量は、いますぐには無理じゃない?」

 ノイズがそう言うと、オンプが何度も顔を横に振りサクラに数枚の資料を差し出した

「無理でも、これを読まないとこれ以上この世界には入れません。私も応援しますので、サクラさん今日中に終わるよう頑張りましょう!」

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