高島くん 寄生革命編

まめでんきゅう–ねこ

第1話 池ぽちゃ

一応言っとくけど、この世界では人口の50%は何かしらの能力が生まれつき使え、その能力は千差万別なので、例え親子でも同じ能力はない。とりあえずこれだけは覚えといてください。

秋風吹く牧場に高島たかしま照男てるおたち5年生は、校外学習に来ていた。

「乳搾りすると母性本能が湧いちゃうんだよね」

滝波たきなみ真風諾まじっくが言った。

「……?」

「??????」

「それは、自然は本能に従って生きてるからです」

「珍しく雷人がいいこと言った。普通の喋り方で」

鱗山うろこやま雷人らいとは逆翻訳でしか喋れないため、何を言っているか誰にもわからない。

「ああそうだ、高島、芝滑りしようぜ」

「ええ?けどソリなかったよ」

有島ゆうしま太郎たろうは高島の親友。彼は無能力者で、能力が使えないが、塾で習った魔術が使える。

「いやでも段ボールとかあんでしょ」

「そっか。じゃあ行こうぜ」

2人は段ボールを持って坂へ向かった。



「ここか。結構デカいな」

段ボールを置くと、その上に乗った。

「行くぞ?」

「おん」

「いっせーのーで!!!!!!」

2人は同時に坂を滑り始めた。顔に当たる風が気持ちいい。

「(おおすごい!!!!!!)」

「都内じゃ味わえないな」

高島が急カーブしようとすると、転倒してしまった。

「うわぁ⁉︎」

「ファ⁉︎」

ごろごろと転がる彼を追いかけて、有島も急カーブした。

「うわぁ⁉︎」

やはり転倒した。

高島は坂道をごろごろごろごろと転がり続けて、ついに池に落ちた。

ドボボォン

有島は木に引っかかったおかげでで、なんとか池ぽちゃは免れたが、高島は無惨な見た目と化していた。

「うわぁなんだお前⁉︎……高島か…」

「悪かったなぁ。オエェ、池の水全部飲んだ」

冗談を言いながら口を大きく開けて水を出した。

「まずっ、………口の中がベタベタするんだけど」

「我慢しろ我慢。戻ろうぜ」

2人は坂を登り始めた。














「はい昼ごはんの時間です。皆さん弁当持ってきましたぁ?」

「はァァァいい、持ってきましたァァァァァァァァァァァァァァァ」

高島たちはレジャーシートを敷いて、昼ごはんを食べた。

「いやぁ、自然はいいねぇ」

先生がコンビニの弁当のフタを開けて、コロッケを箸で掴む。のどかな自然、心地よい風、舞う落ち葉、人々の笑い声、家畜たちの鳴き声、なんて平和な場所なのだろうか。

「某国にはこんな素敵な場所ねぇぞ。アハハハハハハハハ!!!!!!」

沖繩おきなわ蓮界れんかいたちが笑いながら言った。

「どこだよその国www」








昼ごはんを食べ終わった後、しばらく遊んで過ごした。

「トラクターに乗れるらしいぞ行こう」

栩義とちぎ〜?どこ〜?」

「カメラ持ってどっか行っちゃったよあいつ」

「……なんだこの音」

有島がヤギにエサをあげながら、異変に気づいた。

どこからか工場の音が聞こえる。しかし彼は、その辺に工場ができたのだろうと、あまり気にしなかった。

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