ミッション1-② 手錠を外せ!

主人公(手錠を外すしかない!)


主人公(さっき力づくだと無理なのは分かった……なら)


【主人公】はかつてないほどの集中力を以て、手錠を観察する。

見た限り、警察が使う手錠のようで、鍵を使う以外どうしようもなさそうだ。


主人公(そうだ……確か、ヘアピンとかで開けれるって聞いたことがあるぞ。)


周りを見渡すと……ヘアピンがベットの傍に落ちていた。

【幼馴染】の物だろうか。

着けているところを見たことがないので、分からない。


主人公(ともかく、ラッキーだ。これで……)


ヘアピンを手錠の鍵穴に差し込んでみる。

暗くてよく見えないし、初めてやるので、勝手が分からない。


主人公(明かりが欲しい……)


スマホを使えば手がふさがるし、部屋の電気をつけようにも、スイッチは部屋のドアの傍だ。

届かないだろう。

苦戦していると、階段を上ってくる足音が耳に入った。


主人公(やべっ!)


【主人公】は慌てて、ヘアピンを枕の下に入れて隠す。

それと同時に、ガチャッと部屋の扉が開き、【幼馴染】が朝飯をもって入ってきた。


幼馴染「待った?」


主人公「い、いや。」


【幼馴染】はベッドのそばにある俺の机の上に朝飯が置いてある盆を置くと、椅子をベットの横に動かした。


主人公「な、なぁ。」


幼馴染「なぁに?」


主人公「トイレ行きたいんだが……」


幼馴染「トイレ?」


主人公(やべぇ……なんかミスったか。)


ひやりと冷や汗が顔と背中に流れる。

ほんの少しの沈黙……それが今の【主人公】には永遠に感じられた。


幼馴染「そ、そうだよね。【主人公】は。」


そう言うと、【幼馴染】は手錠を外してくれた。

何やら恐ろしい発言が出たような気がしたが、【主人公】は気づかなかった。


主人公(よ、よし……)


幼馴染「【主人公】。」


主人公「な、なんだ?」


後ろを振り返る。

そこには、ニッコリとほほ笑んでいる【幼馴染】がいた。


幼馴染「すぐ……モドッテキテネ。」


主人公「あ、あぁ……すぐ戻る。」


そうして、【主人公】は部屋からの一時的な脱出に成功した。


MISSON CLEAR

NEXT

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る