第471話 我が家の新ルール?

ほぼ旅館となった我が家の広いロビーを通り抜け、ニィナと一緒にナガクラファミリー専用区画に入ると


つま楊枝に刺した唐揚げを手に持ち、めちゃめちゃ嬉しそうなケイトが食事部屋から出て来た。


あの唐揚げはお母さんから味見用に貰ったんだろうなぁ(笑)



「あっ!ふぁんなににふぃな、おふぁえり~、もぐもぐもぐもぐ」


「「ただいま~」」



っていうかケイト、唐揚げをもぐもぐしながら挨拶をするじゃありません!



「んっぐ、、はぁ~美味しかった♪みんな呼ぶからちょっと待っててね。」


ピュイピューイ



『『『ガチャッ!』』』



ケイトが指笛を鳴らすと、色んな部屋のドアが一斉に開いて我が家のみんなが出て来た。



「シンさん、ニィナちゃん、お帰りなさい♪」


ぎゅぅぅ


「おにいちゃんお帰り~♪」


ぎゅぅぅ


「旦那、改めてお帰り」


ぎゅぅぅ


「シンさん、お帰りなさいませ。」


ぎゅっ(照)




うーむ


旅から帰って来たらお母さんに抱きしめられるのはいつもの事だけど、メリル、ケイト、アルテミスさんにも抱きしめられてしまった。


しかもアルテミスさんがめっちゃ照れながらだから、俺もちょっとどうして良いか困るんですけどー(照)


とりあえす愛しのぷりてぃーもふもふ姉妹を抱きしめて落ち着こう!



「カスミ、スミレ、ただいま~」


ぎゅぅぅ♪


「ご主人様、お帰りなさい♪」


「ご主人さま、おかえり~♪」



はぁ~


いつ抱きしめてもカスミとスミレのもふもふは癒されるぅ~♪


もふもふパワー充電完了、復活でごさる!



「ふふっ、ナガクラ様は奥さんが多いわりに女性には慣れてへんのですねぇ」



おぅふ(悲)


ヨウコさんに慈愛に満ちた表情を向けられてしまった。


所詮俺は恋愛レベルが中2の元おっさんだからな、女性に誘われてお洒落なカフェに行っても、緊張で何を食べても味なんて分からなくなるくらいだ。


まぁ女性よりもお洒落なカフェの方が何倍も苦手だったけどな(笑)



「あの、やはりシンさんはこういう決まり事は御存知無いのですね?」


「アルテミスさん、決まり事とは?」


「シンさんにはこれからも、奥さん、側室、妾が増えるでしょうから、家庭円満の為に序列をはっきりさせる事は必須です。」



なるほど


徳川幕府の大奥を題材にしたドラマでもガチガチの序列社会だったな


となると我が家の序列第1位はお藤お母さんなのか?


いや、お藤お母さんは特別枠だな(笑)



「俺としてはメリルとニィナが納得してるなら良いけど」


「それなら大丈夫だよ、ニィナも一緒に話し合った結果だから」



奥さん達が納得してるのは良いけど、側室や妾が増える事を前提にしてるのは、なんだかなぁ



「序列に関してはシンさんが何かをする必要はありません。これまで通りに接して頂ければ良いです。」


「了解でーす。」


「シンさんとは未だに結婚していない他人の立場ではありますが、1つだけお願いがあります。勿論どうされるかはシンさんの意思に任せますけど、話だけでも聞いて頂けますか?」



急にアルテミスさんが畏まって話を始めたのだが、これって良い話の流れじゃ無いよな(汗)



「まっ、まぁ話を聞くだけなら」


「ありがとうございます。では、父と母が住んでいるピスケス領の家にも、シャワーを設置して頂けますよう、お願い申し上げます。」



ほっ


もっと深刻な話かと思ってめっちゃ焦ったぁー(笑)



「シャワーなら良いですよ。でも伯爵家なら広いお風呂があるんでしょ?わざわざシャワーを設置しなくても良いような」


「いいえ、我が家でも風呂用にお湯を沸かすのは夜だけで、それ以外の時間は桶1杯分のお湯を湧かして体を拭く程度しかしません。

先程私もシャワーを使わせて頂いたのですけど、ツマミを回せば一瞬でお湯が出るなど、これ以上の贅沢があるでしょうか?

答えは否です!」


「そっ、そうですか」



なんか分からんけど、シャワーについて力説するアルテミスさんは、面倒くさい男のアルみたいなんですけどぉー(汗)



「それと、少し言い難いのですけど、あの狭さが心地好くて凄く落ち着くんです。」



確かにシャワーを浴びるだけなら小ぢんまりしている方が落ち着く気はする。


何でもかんでも大が小を兼ねる事は無いという良い例だな。



「レヴァティ様にピスケス領に遊びに行く約束をしてますし、結婚式をしたらそのまま里帰りしましょうか?」


「本当ですか!父と母は勿論、メイドのシンシアも喜びます♪」



あぁ~


メイドのシンシアさんって常にアストレア様と一緒に居て、我が家の便利な道具に慣れちゃってるからなぁ


我が家以外の場所に行った時には凄くストレスを感じてそうだよ。


トイレとかトイレとかお風呂とかトイレとか、、、



万が一にもシンシアさんがストレスで倒れたりすると、アストレア様を抑えられる人が減って俺がめちゃくちゃ困る!


そして


アストレア様を抑える事が出来なくなれば、多くの人にとても悲しい結末が待っているだろう。


みんなの幸せの為にも、シャワーとトイレ以外にも便利な道具を用意しておかなくっちゃな!






つづく。

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