第283話 お母さんのお助け箱シリーズ♪
「ねぇダンナ、駄目?」
「そうだなぁ」
「主様、私からもお願い致します。」
「おにいちゃん、みんなで邸の中をいっぱい歩いたから、お願い!」
うーむ、、、
「ご主人様(悲)」「ご主人さま~(悲)」
ぐはぁっ!!
カスミとスミレもウルウルした目で俺を見るのは反則だと思うよ。
みんなの気持ちは俺も理解出来るからしょうがないな
「分かりました、今のこの状況は我が家のピンチと認定します。」
「「「「「やったぁー♪」」」」」
俺がみんなから何をお願いされているのかと言うと
さっき夕食を食べ終えたばかりなのに、我が家の腹ぺこ娘達がお腹が空いたとワァーワァー騒いで俺に夜食を要求していたんだ。
夕食は辺境伯家で用意してくれたとても豪華な料理だった
出された料理は、牛、豚、鳥、の各種1番美味しいと思われる部位のステーキと野菜たっぷりのスープで、シンプルながら最高に美味しかった♪
だがしかし
全ての料理の味付けが塩、もしくは塩コショウのみで3種類もステーキがあるのに味付けが全部一緒だから流石に飽きてしまった
いや、ちゃんとソースがあったのを忘れてたよ、トマトソースと思わしき塩で味付けされた潰しただけのトマトがな
潰しただけのフレッシュなトマトというのはとても青臭い事を知ったよ(悲)
たとえ青臭かろうとも、トマトの酸味で口の中がリフレッシュされたお陰でどうにかこうにか夕食を乗り切った
まあ俺は途中から食べるフリをして収納に入れるという裏技を使っていたのだけど、そんな感じの夕食だったから我が家のみんなは食べた気がしないって言い出して
邸の中を歩いてお腹を空かせたうえで俺に夜食を要求していたんだ。
そしてこんな事もあろうかと旅に出る前にお母さんから渡された箱がある、みんながピンチの時には遠慮無く開けるようにと
題して
『お母さんのお助け箱シリーズ♪』
幾つかある箱の中から今回は、お夜食重箱をチョイス!
「それじゃあ開けますよ~っと、パカッ、おおっ!」
「「「「「ばんざーい♪」」」」」
みんなのリアクションを大袈裟と思うなかれ、重箱の中身はなんと
『味噌カツサンド』と『照焼きチキンサンド』だったんだ♪
野菜たっぷりの照焼きチキンサンドはニィナ用かな?
お母さんの愛が感じられるぜ!
カツサンドは普通のソースのやつも好きだけど、味噌カツサンドもたまに無性に食べたくなるんだよな
関西だと売ってるお店が限られてて食べる機会は少なかったけど
アストレア様に頼んで八丁味噌作って貰おうかなぁ、八丁味噌は豆味噌だから豆繋がりで豆板醤作った人に頼む方が良いかな?
夕食の時にステフ様が話していたけど
梅の塩漬け
豆の唐辛子漬け
野菜の酢漬け
これらの事をヤン先生から聞いて「是非とも領地の特産品にしたい!」って事で
明日の朝1番にステフ様自らが作った人の所に出向いて辺境伯家にスカウトするんだとか、3つとも別々の人が作った物だけど1人で3ヶ所回るつもりか?
こういう事は家臣に任せれば良いのに自分が行かないと気が済まないんだろうな、そういうのがまさに脳筋思考だって言うんだよ
付き合わされる周りの人は大変だろうけど、俺はそういうの嫌いじゃないぜ♪
無事にスカウト出来たらステフ様に無料でレシピをプレゼントする予定だ
レシピを考える手間も省けるし後ろ楯になってくれる対価としても充分だろう
そうすればアリエス辺境伯領でのミッションコンプリートで、俺は心置き無くサウスビーチに行ける♪
などと考えている場合ではなかった、このままでは味噌カツサンドと照焼きチキンサンドを我が家の腹ぺこ娘達に食べ尽くされてしまう!
そこの腹ぺこ娘達に告げる
サンドイッチを口にくわえながら
両手に1つずつサンドイッチを持つのはやめろぉーー!
俺の
俺の分のサンドイッチが無くなるだろうがぁーーーーー(泣)
つづく。
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