第8.5章 雨季から夏のなんやかんや
第220話 受信
朝、目が覚めると
いつもの光景、、、とは少し違った光景が目に写る
俺の右腕はいつものようにカスミが掴んで気持ち良さそうに寝ているけれど、左腕はメリルが掴んで気持ち良さそうに寝ている
そして、カスミを抱きしめるようにニィナが寝ていて、その向こうにはコニーとフラニーに挟まれながらスミレが寝ている
隣に誰が寝ていても良いけれど、愛しのぷりてぃーもふもふのスミレとずっと一緒だったから、おっさんは少しだけ寂しいです。
そして、いつも腹を出して寝ているケイトの姿が見えないのも少し寂しい(笑)
昨夜ケイトはお藤さんと、、、じゃなくて
お藤お母さんと一緒に別の部屋で寝ている
ケイトは少し嫌がっていたけど、ウチのお母さんはそういうの気にしないからなぁ(笑)
それに、お藤お母さんが言うには、ケイトには『母』として全力でぶつからないと駄目らしい
俺にはちょっと意味が分からないんだけど、ケイトが本気で嫌がった場合のフォローは必要かなと思う
ウチのお母さんは少し強引だけど、無茶はしないから大丈夫だろうけどな
さてと、俺の腕を掴んでるメリルとカスミを起こさないように、そっと手を外して
部屋の隅の机に置かれた無線機のスイッチを入れる、これは俺の最近の日課になっていて、浮島で知り合ったゴーレムのゴレさんからの連絡を待っている
そもそもだけど
ゴレさんに通信機能は無かったんだよな、それを創造神様から通信機能を付けとくって言われたので、こうやって毎日無線機のスイッチを入れて待っている
ただなぁ、『神』という存在の時間の感覚ってもしかしたら、100年や200年は瞬きするよりも早く過ぎるんじゃなかろうか?
そうなると俺が生きてる間にゴレさんからの連絡が来ない可能性も充分ある(汗)
『ピピーーガガッ、ガガガガ、ピピッガガガガ』
っ?!
「ついに来たか?」
『ガガッ、ガガガガ・・・』
あれ?
電波が悪いのか?アンテナか?まさか他に無線の電波なんて飛んで無いだろうから、混線してるわけないし
原因は何だ?
無線機って確か雑音を調節するツマミがあったような
俺も元世界でアマチュア無線の免許を持ってたけど、免許を取ったのが小学生の時で、高校ぐらいにはやらなくなっちゃったんだよなぁ、だからほぼ忘れてる(笑)
でだ、とりあえず色んなツマミを
『キュインキュイーーーン』と回して、これでどうだ?
「ツートンツー、ツーツーツー、ツーツーツーツー、トントン、ツーツーツー」
なんだこれ?
「ツートンツー、ツーツーツー、ツーツーツーツー、トントン、ツーツーツー」
またか、同じ事の繰り返しだな、、、
ツートンツー?
ツートン、ツー?ツー、トンツー?、、、トンツー
モールスか!
「ニィナ!モールスを受信、解読任せた!」
「はっ!」
ふはははは、このパターンは予想済みだ!
ゴレさんは言葉を話せないから、何かしらの信号を送って来る事は簡単に予想出来た
だから
モールス信号をはじめ、手旗信号、フェネティックコード、忍びいろは、ポリュビオスの暗号表等々
なんかそれっぽい物はだいたい覚えたんだ、主にニィナがな!
と言ってもモールス信号以外は無線機では使えないだろうけど、今後役立つ時もあるかもしれない
「ツートンツー、ツーツーツー、ツーツーツーツー、トントン、ツーツーツー」
「『ワ』『レ』『コ』『″』『レ』『ワレゴレ』、主様、ゴレさんからです♪」
「来たか!ゴレさんシンです、元気ですか?」
「ツートントントン、トンツー」
「『ハ』『イ』どうやらお元気のようです♪」
「それは良かった。えぇーとゴレさん、秋にお花見大会する予定だから、その頃にキャラバンシティの近くに来てくれると一緒に楽しめるんだけど、どうかな?」
「トンツー、トントントンツー」
「『イ』『ク』来て下さるようです」
「そうか♪じゃあ楽しみに待ってます。それとこれからは10日に1回の定期連絡にして、何かあればいつでも連絡下さい。」
「トントントン、トンツーツートン、トントン、トンツーツー」
「『ラ』『シ』『″』『ヤ』『ラジヤ』ん?主様、どういう意味でしょうか?」
「それは、ラジャーって事だろうな、分かったって意味だよ。それじゃあゴレさん、ほなまたなぁ~♪」
「ツートントン、トンツートン、トンツートン」
「『ホ』『ナ』『ナ』『ホナナ』申し訳ありません、これも私では意味が分かりません」
「ニィナが分からないのも仕方ないよ、俺の故郷の言い方だからな。また会おうって感じの意味だよ」
ふふふ、またゴレさんに会えるの楽しみだなぁ♪
ただし、頻繁に浮島が来ると絶対騒ぎになるよなぁ(汗)
今のうちに、キャラバンシティは女神様から祝福を受けたっていう噂を流すか
そしたら、浮島から女神様が見守って下さっているとかなんとかになりそうじゃね?
浮島には女神様が住んでいるっていう御伽噺があるくらいだし、アストレア様から噂を流して貰えば、貴族はともかく一般市民は信じそうだ
そしたら秋のお花見大会も浮島を眺めながら、なんか神聖な儀式っぽくなって騒ぎにはならないんじゃないかな
そんな先の事どうでもいい、、、いや良くは無いけども
今日は大事な仕事があるんだよ
さあ、今日もはりきって行きますか♪
つづく。
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