第199話 浮島報告会と、、、

「シンさん、さっそく報告会を始めましょうか」


「かしこまりました、アストレア様にミリーさんこれが浮島の報告書です。これを見ながら気になった所は補足説明するかたちにしたいと思います。」



俺が2人に渡したのはカスミが書いてくれた報告書だ、浮島で撮った写真の横に簡単な説明と感想を書いた絵日記みたいな物だけど


カスミは我が家に来るまで読み書きはほとんど出来なかった、それが数ヵ月で報告書が書けるようになったんだからたいしたもんだよ


俺が報告書を書いてもカスミと同レベルかそれ以下の物しか書けないだろう、元世界でも報告書なんて書いた事無いからな



「まずはページをめくって頂いて、最初の絵がパラシュートという風のチカラを利用して空を飛ぶ道具です、それを使って浮島に行きました」


「へぇー、これで浮島にねぇ、コニーとフラニーから空を飛んで行ったって聞いてたけど、凄くシンプルな道具で行ったのね」


「まさかこれで空を飛ぶなんて、、、それにしてもとても綺麗な絵ね、以前にもシンさんからこれと似たような絵を見せて貰ったけれど、手描きという訳では無いわよね?」


「そうですね、カメラという道具を使って描くというよりは景色を切り取る、という表現が近い絵かもしれません」


「なるほどねぇ、シンさんは料理以外にも珍しい物は何でも持ってるのね♪」


「さすがに何でもは持ってませんけどね、アハハハ(汗)えぇーと、次のページからは浮島についてですね、珍しい植物が沢山あったという以外は特筆すべき事はありません、何故か生き物も全く居ませんでしたし


浮島全部を見た訳では無いので断言は出来ませんが」



2人に渡した報告書には、ゴーレムのゴレさん達や畑の事は書いて無い


この2人ならあまり心配する事ではないかもしれんけど、ゴーレムは討伐対象のモンスターだから、討伐を考えられると困る


ゴレさん達には平穏な毎日を過ごして欲しいから念の為だ。


たとえ浮島に上陸出来ても、ゴレさんはミスリル製だったから倒すどころか傷ひとつ付けられないだろうとは思うけど


ちなみに、ドラゴンさんの写真はバッチリ載せている(笑)


ニィナとケイトに倒される前の恐ろしくて凛々しい姿の奴だ、こういうのも逃さず写真に撮ってるウチのカスミは出来る子なんだよ♪


ドラゴンも小さい奴は討伐対象だけど、浮島に居たドラゴンさんのサイズ(15~20メートルくらい)になると、神聖な生き物とされていたり


動く災害と呼ばれていたりして討伐を考える存在ではなくなるらしい


浮島に行った俺達はドラゴンと遭遇したけど、運良く見つからず逃げ帰って来た、という設定にしている



「あらあらまあまあ、立派なドラゴン♪これなら王都の馬鹿な貴族が絶対に腰を抜かしたのに残念ねぇ」


「えっ?!こんなサイズのドラゴンなんて記録にも無いと思うんだけど、、、シン君達は本当に死ぬところだったのね」



報告書を見ていた2人がちょうどドラゴンさんのページにたどり着いたか


ドラゴンさんを見付けた時はちーちゃんさんに浮島に危険は無いとか言われてても、マジでおしっこチビりそうだったからな




「浮島の報告とても有益で楽しかったわ、この報告書は頂いて良いのかしら?」


「はい、どうぞお持ち帰り下さい。必要なら絵の方は追加で作れますので遠慮無くどうぞ、お安くしておきます♪」


「ふふっ、シンさんのその抜け目の無い所は見習わないといけないわね、絵の追加は旦那様に報告書を見せてからになるけれど、頼むと思うからその時はよろしくね」


「まいどあり♪」




「さて、報告会も終わった事だし話が変わるのだけど」



ゾクッ!


急にアストレア様の雰囲気が変わって背筋が寒くて


凄く怖いんですけど(汗)



「シンさんは女性は好きかしら?」


「えっ?、、、はい、好きですけどそれが何か?」


「恋愛対象として好きなのよね?」


「はい、好きです。」


「それは良かったわ♪でもシンさんって地位もお金もあるのに女性と遊んだりはしてないでしょ?」


「そもそも地位とお金目当ての女性は好きでは無いですし、同じ女性なら今はカスミとスミレと遊んだ方が楽しいので」


「ふふっ、確かにカスミちゃんとスミレちゃんの可愛さに勝てる女性は少ないわね」



ほっ


なんかよく分からんけどアストレア様の雰囲気も元通りになって良かった


俺は女性に興味が無いと思われていたのだろうか?


金持ちの遊びと言ったら、女性を買ってハーレムとかやるんだろうけど俺はそういうの興味無いからなぁ



「シンさんが女性が好きで良かったわ、男性が好きだったらお願いするのは申し訳無かったから」


「お願いですか?」


「そうなの、シンさんはお妾さん欲しくない?」


「は?、、、あのアストレア様、私は結婚もして無いんですけど」


「勿論知ってるわよ、正妻はシンさんの好きな女性で良いのよ、だからお妾さんはどうかなと思って


シンさんも良い歳なんだし、お見合いしてみるのもいいと思うのよ」


「とてもありがたい提案ですがお断りし」「シンさん、こういう事も経験だと思うのよ、何事も初めては緊張して上手く行かないのが普通よ


だから、お見合いして経験を積むべきだと思うの」



「あのですね、これはお見合いを受けないと色々と問題が起こる感じのやつですか?」


「・・・」


「アストレア様?」


『ムニッ』



あぁ~、この状況はあかんやつやー、アストレア様が俺の横に座って胸を押し付けて来てるもの、そして顔も近いよ(汗)



「シンさん、私も辛い立場なの。私これからもシンさんの為に頑張るから、貴族の面倒ななんやかんやは全部引き受けるから


だからお願い、お見合いしてよぉ~わぁ~~~~(泣)」




おぅふ、アストレア様が泣いてしまった、さっきはミリーさんにも泣かれてしまったし、今日はそういう日なのだろうか?


これはもう面倒事の匂いしかしないよ


だがしかし!


俺は20歳を越えた女性の涙を信じられなくなった、悲しきおっさんなんだ


だから涙なんかで、、、



全力でお見合い


頑張らせて頂きます!!






つづく。

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