第175話 oh!fantasy♪
桜っぽい花も散り、鮮やかな緑の葉が生い茂った今日この頃
俺は池田屋商会の会長として仕事を頑張っている
いつものようにニィナと2人・・・
だけではなく珍しくアルも一緒だ、多分だけど俺と一緒に居れば誰よりも早く新しい物や珍しい料理を知る事が出来ると考えているのだろう
最近では仕事の打ち合わせとか言って我が家にもよく来るようになった。
面倒くさい事を言わなければ良い奴だから歓迎するんだけどな(笑)
今日の仕事は製麺所でパイ生地作りだ、商会でバターも作り始めたし、新しいお菓子の為にもパイ生地は欲しかったんだよな
パイ生地と言えば、ミルフィーユやアップルパイ等の焼き菓子には欠かせない
来年は、『ガレット・デ・ロワ』でも作って新年を祝うのも良いな♪
ガレット・デ・ロワに使うアーモンドクリームが俺は好きなんだよ♪
洋梨のタルトにもアーモンドクリームが合うから今度作ってみるか
パイ生地作りはそんなに難しくない、よ~く冷やしたバターを予め作っておいた生地で丁寧に包んで、それを伸ばして折り畳んで、伸ばして折り畳んでを数回繰り返せば良い
製麺所にある、パスタの生地を伸ばすパスタマシンを使えばさらに簡単に作れる
ちなみに、パスタマシンは手動だからアルに頑張って貰おう
「シンさん今日は何を作るのですか?また何か大会が出来そうな物なのでしょうか?
いやぁ~楽しみですねぇ♪」
「待て待て待て、大会はもうええねん。
それで、今日作るのはお菓子に使うパイ生地だよ、アップルパイかミルフィーユを作ろうと思ってな、今日の夕食のデザートにする予定だから、アルもパイ食べに来いよ」
「え゛っ?!」
「ん?」
俺はこの時のアルのなんとも言えない複雑な表情を生涯忘れる事は無いだろう(笑)
「シッ、シンさんは、パイを食べるのですか?(汗)」
「そりゃあ食べる為に作るんだから、食べるだろ」
微妙に話が噛み合って無い事に気付き、アルに詳しく話を聞いた結果
『パイナン・テターベルモ・ンジャネー』
というけったいな名前の魔物が存在する事が判明
そいつは、ネバネバでベタベタの超臭い粘液を吐き出す魔物で、見た目はナメクジとかウミウシに似てるみたいだ
冒険者の間では、通称パイ
そいつを食わされると考えたなら、アルがおかしな表情をしたのも致し方無いだろう
「シンさん、本当にパイは使わないんですね?」
「使わないよ、目の前にある材料だけだって言ってるだろ」
「しかしですね、シンさんは収納持ちですから、そこからパイを取り出すのは簡単ですよね」
「アルもしつこいな、魔物のパイを使うかどうかそこでしっかり見てろよ。そうすると売る時にアップルパイって名前だとイメージが悪いか、ニィナはどう思う?」
「名前にパイと付いてるなら、冒険者は敬遠すると思われます。」
「だよな~、とりあえずパイ生地の事は『サクサク生地』と呼ぶ事にして、名前は後で考えるか」
「そうだシンさん、パイですっかり忘れていましたけど、以前おでん屋でロブさんが言っていた『ふひひま』というのが何か分かりましたよ」
「マジか!っていうか、あんな酔っぱらいの言った事をよく覚えてたな」
「ははは、ギルマスだった頃の癖でしょうね、相手が言った事を一言一句聞き漏らさないようにしていましたから。
何の意味も無いような言葉でも、実は緊張をほぐす為だったり、言い訳を考える為の時間稼ぎだったり、時には重大な秘密が隠されていたり」
「へぇ~、アルもちゃんとギルマスとして仕事してたんだな」
「あはははは、頭がぶっ飛んでいると言われた私も、商業ギルドという組織の一員でしかありませんでしたから、シンさんみたいに自由に仕事は出来ませんよ(笑)」
「そりゃそうか、それで『ふひひま』って何なんだ?」
「そうでした『ふひひま』の話でしたね、それは『浮島』の事だと思われます。」
「ウキシマ?それってもしかして空に浮かぶ島って事か?」
「仰る通り『浮島』は空に浮かぶ島です。
だいたい10年に1度、バルゴ王国の上空を通過していくんです。
そして前回来たのがおよそ10年前、ロブさんも「ふひひまが来たら」と言っていた事から推測すると、今年来るであろう浮島の事だと思われます。
浮島が来るタイミングで『浮島大会』をして盛り上がりたい、という事でしょう。
残念な事に本人に聞いてもあの時の記憶が曖昧で確かな事が分かりませんでした。」
ついに来たーーーー!
これぞファンタジーの王道
空に浮かぶ島
ラピ○タは本当にあったんだ!
あの雲の向こうに、見たことのない島が浮いてるんだ
やるぞぉー!
きっと浮島に行ってやる!!
つづく。
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