第165話 池田屋商会presents 第1回春のお花見大会 その2
「ほれ、お前さんに頼まれとった物だ、忙しかったといえ時間がかかっちまってすまんの」
「いえいえ、元々春頃を目処にって事でしから」
親方から渡されたのは、銅の板に無数の丸い窪みが綺麗に並んでいる、いわゆる『たこ焼き器』だ
わざわざ銅で作って貰ったのは鉄より熱伝導率が良くて、外はカリッと中はトロッと焼けるから本格的なたこ焼き屋は銅を使ってる事が多い
せっかくだから本格的なたこ焼きを食べたかったんだよな
1枚で100個焼けるのを3枚注文してたんだ、せっかくトンカツソースも商会で作ってるんだからトンカツソースを使った料理も色々食べたいからな
ただし
このたこ焼き器の発注にはウラ話がある
俺の能力であるユニークスキルの「店」にある商品は、創造神様が管理しているからなのか、調味料等を含めた食品関連の品揃えが充実している
かと思いきや、誰かが出品したかのようなゲームソフトの詰め合わせがあったり、バスの降車ボタンがあったりと、商品の基準がイマイチ分からんのだが
だからこそ掘り出し物があるかと思って暇潰しに見ていたら
あったよ
運営からのイチオシ商品がな(笑)
イチオシ商品は『たい焼き器』だった、それもガチの業務用たい焼き器が10mp、約1000円の激安価格だった・・・
創造神様はたい焼きをご所望ですか了解です。
俺もたい焼きは好きなのでありがたいんですけどね
改めて分かった、創造神様は色んなお菓子とか美味しい物を食べたいって事が。
そこでたこ焼き器の発注に繋がる
勿論俺がたこ焼きを食べたいのもあったけど、たこ焼き器を使えば多少サイズは小さくなるけどベビーカステラも作れるって事を思い出したんだ
お正月に神社に行ったらベビーカステラの出店があってよく買って貰ったなぁ、シンプルなお菓子だけど焼きたてがめっちゃ旨いんだよ♪
たこ焼きとベビーカステラ、たこ焼き器1つで2種類の食べ物が作れるなんてお得やん♪
って事でたこ焼き器の発注と相成った訳である。
「それで、お前さんそいつを使って新しい料理を作るって言ってたろ、何を作るんだ?何か焼くにしてもこんな小さな窪みで出来る物なんて無いじゃろ」
ガゼル親方は、たこ焼き器を不思議そうに眺めながらも何が出来るのか気になるようで、目をキラキラさせて質問してくる
「まあ料理と言っても手軽に食べれる軽食ですからね。でも、具材とソースを変えれば色んな味が楽しめるので、今日みたいに皆が集まった時には良いと思いますよ、ちなみにビールに合います♪」
「ガハハハハハハハ、お前さんがそう言うって事は、ビールに最高に合うって事だろ♪
まったく、それを早く言わんか!そしたら最優先で作ったもんを」
「あなた、仕事には優先順位という物があるのを知っていますか?」
「え?、あっ、いや、勿論知っとるぞ!今のは、しゃしゃ、社交辞令じゃろ(汗)」
おぅふ(汗)
なんだか俺のせいで親方がオリビエさんに責められている、親方には世話になってるしなんとかしなければ!
「えぇーと、さっそくこの道具を使って料理作るんで、オリビエさんも親方も是非沢山食べて下さい」
「ふふっ、その道具でどんな料理が出来るのかずっと気になっていたのよ♪この人なんて昨日からずっとその道具を磨いて楽しみにしてたのよ、ねえ?」
「うむ!お前さんが作る新しい料理なんだ、楽しみにするに決まっとる!」
「ありがとうございます。ご期待に添えるように頑張って作りますね。ニィナ、カスミ手伝ってくれるか?」
「かしこまりました」
「はい!頑張ります!」
さてと、とりあえず具材違いのやつを3種類、30個ずつ作ればとりあえず近くに居る人には行き渡るな
たこ焼きの生地は既に準備済みだ、出汁をたっぷり入れて少し緩めにしてある
さっそく炭火で温めた、たこ焼き器に薄く油を塗り生地を流し入れる、丸い窪みから生地が軽く溢れるくらい入れるのが俺のやり方だ
生地を入れたら次は具材。
1種類目、タコ、ネギ、紅ショウガの定番のやつ
2種類目、タコの代わりにコンニャクを入れて他の具材は入れないバージョン
3種類目、角切りにした餅とチーズを入れたやつ
定番の具材はこんな感じかな、あとは好みでウィンナー入れたり、チョコとフルーツを入れてお菓子にしても旨いんよ♪
生地が焼けてきたら窪みの外にはみ出してる生地を中に押し込み、窪みのフチに添って竹串でグルグルしたら勝手に回転してくるから、そのまま返して焼いていく
この時に多少見た目が悪くなってもクルクル回して焼いてれば、それなりに丸くなるから気にしなくて大丈夫だ
表面に好みの焼き色が付けば完成♪
出汁が効いてるからソースは無くても大丈夫だけど、タコを入れたやつはソースとマヨネーズで
コンニャク入りのは、刻みネギを乗せてぽん酢をかける『ネギぽん』がおすすめだ♪
餅とチーズ入りのは、明太子マヨかタラコマヨソースで食べるのが俺は好き♪
「お待たせしました、、、って、うぉい!ケイト驚かせるなよ!」
たこ焼きが完成して皆に配ろうと顔をあげたら、俺の肩ごしにケイトがたこ焼きを真剣に見ていた
しかもスミレを肩車してたから驚きも2倍だよ(笑)
「だってぇ、トンカツソースの良い匂いがしたからさぁ」
『きゅるるるるぅ~』
ケイトと一緒にソースの匂いをクンクンしていたスミレのお腹が鳴ってるよ(笑)
「はいはい、ケイトちゃんは皆にたこ焼きを配るの手伝ってちょうだい、スミレちゃんはこっちに来て手を拭いてね」
「「はぁ~い」」
いつの間にか我が家のお母さん、、、のような存在のお藤さんが戻って来ている。
お藤さんは、女将さんと孤児院の院長さん、孤児院は今はこども園になったから園長さんになるんだけど、その年長者3人で何やら話し込んでいた
ウチの商会の従業員は平均年齢が低いからなぁ、お互いに面倒見てる若者についての苦労話でもしていたのかな?
それぞれ、おばあちゃん、お母さん、親戚のおばちゃんって感じだからな、これからも苦労をおかけすると思いますが
よろしくお願い致します。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。