第83話 悪代官をやっつけろ!

俺達を乗せたトゥクトゥク自転車は、現在山道を走っている


街道に出るよりこのまま山道を走り山を越えた方がサウスビーチには早く着くからだ。



ここまでに幾つか通った集落には初めて見る種類の獣人がいたり、陶芸っぽい事をしている場所等


気になる物が色々あったけどスルーだ、全部見て回ると時間が足りないからまた機会を見つけて来よう。



順調に山道を走り山を下って来たのは良いのだが、もう少しで麓というところで足止めを食らっている


少し開けた場所に関所?のような物があり、山村から街に行こうとしている人達と関所の兵士が揉めていたからだ


どうやらこの関所は最近出来たらしくここを通るには通行料が必要らしい


この金額が1人銀貨3枚だって言うんだからメチャクチャだ


1日の稼ぎが銀貨3枚あれば立派だって言われる世界で誰が払うんだよ!


関所を守る兵士の後ろでは、でっぷりと肥え太った成り金趣味丸出しの馬鹿そうな男がふんぞり返っているし


これはいわゆる悪代官テンプレだな!



だがしかし


悪代官といえばお偉いさんと仲が良いってのが定番だから揉めても良い事は無い、ここは大人しく通行料を払ってさっさと通ろう



だけど、集まってる人が多過ぎて関所まで行けないんだよな、とりあえずお茶でも飲んで待つしかないか





「きゃー!」


「おい大丈夫か?!てめぇ、やりやがったな!こんな所に関所なんて作りやがって、俺達に飢え死にしろってのか?」


「通行料を払えば通してやると言ってるんだ、これは領主様の決められた事である!逆らうなら首を斬るぞ!」




あぁ~、騒ぎになっちゃったよ(汗)


先頭にいた女性が無理矢理通ろうとして兵士に殴られたみたいだ


あっ!


キモい悪代官が出てきた




「そこの汚ならしい愚民ども、領主様に対して不敬である、本来ならば即首を斬り捨てる所であるが我もオーガではない、そこの娘で許してやろうではないか、連れていけ!」


「はっ!」


「おい!娘に手を出すんじゃ」


『ボコッ!』


「ぐはぁっ!」


「とうちゃーん(泣)」




おいおい、今度は子連れのおじさんが兵士に殴られたよ


どうしよう、事態がどんどん深刻になっていくのだが(汗)



「ん?どうしたカスミ、、、いや言わなくていい、俺に任せろ!!」



振り向くとカスミが俺の服の裾を持って、とても悲しそうな顔をしていた


他人がどうなろうと知ったこっちゃないが、ウチの大事なカスミにこんな悲しい顔をさせた悪代官、貴様は許さん


地獄への招待状をくれてやる!



「ケイト、ニィナ、俺は今怒っている、だが俺だけではどうにも出来ん!だから俺のやる事をどうか手伝って欲しい、この通りだ」


「主様、顔を上げて下さい!不肖ニィナ、主様の御役に立てるのならば、相手がドラゴンであろうとあの世に送って御覧にいれましょう♪」


「そうだぜダンナ、今さら頭下げるとか水臭いっての、でもまともに相手をすると後々面倒になるけど、ダンナの事だから何かプランがあるんだろ?」


「2人ともありがとう!プランBがある♪」





BGMテープ、セット!


ラジカセのスイッチを、ガチャっとな♪


『ポン、、、ポン、、、ポン、、ポン、ポポポポポポポポポポポポポポ、ポポン!』


「なんだこの音は?!」


「あれはトラの獣人か?」




「しずまれーい!


ひとーつ、日ノ本と呼ばれていた国からやってきて


ふたーつ、不思議な世界で第二の人生を


みーっつ、みんなで仲よく生きている


貴様の犯した悪行は、お天道様が許しても、この私が断じて許さん!


我ら、さすらいの虎獣人、人呼んで『虎さん』だ!」



「トラサンダーだとぉ?貴様、我に楯突くとは愚かなり」


「待て待て待て!トラサンダーではない、『虎さん』だ!」


「だからトラサンダーであろう?訳の分からぬ事を言いおって皆の者斬り捨てろ!」


「「「「「はっ!」」」」」





「黒虎さんどうしよう?」


「ダン、、、赤虎さん名前はどうでもいいと思うんだけど」


「黒虎殿、名前の重要性が分かっていませんね」


「、、、むぅ」


「2人ともこんな時に名前がどうとか話している場合ではないと思うんだけど」


「死ねぃ!」


『ガキーン!』


「ふぅー、危ねぇだろうがぁー『ドゴッ!ボキッ!』」



びっくりしたー(汗)


いきなり兵士が斬りかかって来た所を黒虎さんが見事に防いで、相手をボコボコにしている



「流石黒虎さん!白虎さんもやっておしまいなさい」


「はっ!」





悪代官達をこらしめる為、俺達は変装の為にプロレスで使う虎のマスクを被っている


俺は赤


ニィナは白


ケイトは黒の虎のマスクだ



獣人に間違われたらいいなぁと淡い期待をしていたが、思いのほか上手くいったな


そして俺は次々に兵士を警棒で殴り飛ばすニィナの後ろに張り付いている


俺は防刃ベストを着て、44マグナムの弾丸も防ぐという透明な盾と唐辛子スプレーを持っているけれど


俺に戦う技術など無い!



とりあえず全員に自動回復の魔法をかけているから死ぬ事は無いと思うんだけど、、、


心配要らなかったね、あっという間に全員倒しちゃったよ(笑)


知らんかったけどケイトもメチャクチャ強かったんだな、剣を鞘から抜かずにそのまま兵士をぶん殴ってたもんなぁ



あとはキモい悪代官をどうするかだけど



「きっ、ききききききき貴様ら、我に手を出せば領主様が黙っておらぬぞ!今なら我が取り成してやろうではないか」


「うるせぇーよ『ドゴッ!』」


「ぐぉぉぉぉ・・・」



腰を抜かしたのか尻餅をついて動かない悪代官に、おっさん怒りの股間蹴りが綺麗に決まったぜ♪


でも蹴った足は後で消毒しとかないとな



「黒虎さん、白虎さん、こいつを木に縛りつけよう」


「任せろ♪」「はっ♪」



「おい貴様、我をどうするつもりだ(泣)金ならやる!それとも女か?そこの娘をやろうではないか、それでどうだ?」



「そこの娘って、さっきの女の子か、お前のロリコン趣味を押し付けてんじゃねぇよ!


貴様には地獄への招待状が来てるぜ、しかも生きたまま地獄へ行ける特別待遇だ、受け取りな」


『プシューー』


「なっ?!ぐぁぁーー熱い熱い熱い!痛い痛いーー(泣)貴様ぁ何をした?!ぐもぉー!!」



どうやら股間に直接唐辛子スプレーはよく効いているみたいだ、キモい悪代官が変な汗を吹き出している



地獄への招待状とは恐ろしい物だな


(  ̄- ̄)






つづく。

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