第67話 商会と従業員

手続きも終わり無事に『池田屋商会』が立ち上がった。


そこで従業員を集めて会長として挨拶する為に、元アメジスト商会の立派な建物にやって来た


いつの間にやらこの建物も俺の所有になっていて、既に池田屋商会の看板も掲げられている



「えぇー、本日はお忙しい所を集まって頂きありがとうございます。私が池田屋商会、会長のシンでございます。


皆様のお陰で私には勿体無いぐらいの立派な商会を立ち上げる事が出来ました。


つきましては、、、



~~~以下省略~~~



という事で皆様一緒に楽しく働きましょう。」



「ダンナ長ぇーよ!」


「ケイトよ、こういう事はキッチリやらないと駄目なんだぞ、それに俺が会長だって皆に顔を覚えて貰う時間でもあるからな、長くて当然だ」


「この街に住んでるならダンナの顔を知らない奴の方が少ないからな!」


「そうなのか?!色々やったという自覚はあるが何故俺の顔を知ってるんだよ?」


「そりゃあ今話題の商人だからどんな奴か見たいじゃんか、それに楽しい話題なんて最近無かったからみんな浮かれてんだよ


どこかで戦争があるとか、孤児が増えたとかばかりでさ」



「楽しい話題ねぇ、、、なぁこの街で祭りはやんないのか?」


「祭り?収穫祭の事だったら、この街じゃあやんないよ、近くの村ではやってるけど」


「俺が言ってる祭りは収穫祭とはちょっと違うかな、みんなで楽しむ為の祭りなんだけどそういうの無いのか?」


「祭りって何かを祝う為にやるんじゃないの?畑の作物が豊作だったり、王様に子供が産まれたりとかさ」


「そうなんだろうけど、祭りは楽しいだろ?」


「う~ん、女神様に祈りを捧げたりするのは大事な事だけど、楽しくは無いかなぁ」




何故だろう話が全く噛み合わない、やっぱり文化の違いだからか?


そもそも世界が違うからなぁ、少なくともこの国での祭りは神聖な儀式って感じがする



「ねぇ、おにいちゃんの故郷のお祭りは楽しいものだったの?」


「そうだね、亡くなった人を弔う為だったり色々な目的のお祭りがあったけど、みんなで楽しむってのが普通だったかな」


「そうなんだ」



メリルも微妙な顔をしちゃったよ、楽しい祭りってのが全然想像出来ないんだろうな





「シン殿~♪奴隷の皆さんが集まってますから早く来て下さいよぉ~」


「すいませんウェンディさん直ぐ行きますから」



そういえばアメジスト商会のクソジジイの奴隷が主人不在になったから、俺の奴隷にする為に譲渡手続きをして貰ってたんだ


俺の奴隷にはなるけどアストレア様とミリーさんの管理の元、商会の建物に住み込みで働くからあんまり会う事も無いだろうけど


それで今日、初顔合わせの挨拶をするんだった



「ミリーさんお待たせしてすいません」


「ふふっ、少しぐらい遅れた方が会長っぽいわよ♪」


「からかわないで下さいよ、そんなクソみたいな会長を目指してないのは知ってるじゃないですか」


「その言葉をシン君の口から直接聞きたかったのよ、さあ会長さん皆が待ってるわよ」



今俺の前には8人の奴隷が並んでいる、人族と獣人族が4人ずつ


人族は男が2人と女が2人、獣人族は男が1人に女が3人


事前に聞いていたけど全員ガリガリに痩せている、これならスラムのガキの方がまだ栄養状態が良いかもしれん


衣食住を用意すれば死ななければそれでいいってのが奴隷の扱いとしては普通らしい



この国の奴隷の扱いに関して俺が何かを言える立場じゃないし、奴隷の待遇を改善しようなんて1ミリも考えてない


所詮俺は自分が大事なだけの、事無かれ主義のおっさんだ


だから俺は自分の奴隷を好きに扱う、主人としての権利を存分に活用してな♪




「えぇー、みなさん初めまして、この度私が皆さんの新しい主人になったシンです。


色々と不安かと思いますが皆さんには今まで通りここで働いて貰います。


えーと、命令する、これからは俺の意を汲み無理せず真面目に働け!


ミリーさん本当にこれで大丈夫なんですか?」



「えぇ、『奴隷紋』の効果があるから充分よ、でも命令の内容が曖昧で強制力が弱いから、それなりに個人の意志が尊重されるわ


彼らもいきなり命令無しの生活はどうしていいか分からないだろうし、シン君も人を使う事を覚えないとね


後は信頼関係を築くだけよ♪」



『奴隷紋』


なんとも異世界らしい不思議なチカラだな

、奴隷紋のおかげで主人を裏切れなくなるのは知っているが他の効果については未だによく分からん



だが今は奴隷との信頼関係が先だ



ミリーさんに奴隷の状態を事前に聞いていたから飯を用意して来たんだ


奴隷との信頼関係と言えば旨い飯しか無い


これぞ異世界テンプレだ!






つづく。

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