第5章 いつかの為に

第56話 桜餅と創造神様と第3種夏制服

ふわぁ~、眠い


今日みんなで行った花見は凄く楽しかったけどはしゃぎ過ぎたよ(笑)


さてと、寝る前に創造神様に桜餅をお供えしとかないとな




『コンコン』


「アニキいるかー?」



おや?


この声はニックか、こんな時間に珍しいな



『ガチャ』


「おぅ、どうしたニック」


「これ」



そう言ってニックに渡されたのは袋一杯に入った銀貨だった



「クレープの売り上げか?随分売れたなぁ、半分はニックとスナックの取り分にしていいぞ、アンさんには俺から報酬を払うから」


「要らないよ、飯は腹一杯食えるし寝るのも裏庭のアレで充分なんだ、アニキには世話になりっぱなしだしクレープ屋もかなり金かかってるんだろ?」


「まあそれなりに必要経費がかかってるな」


「だから返済にまわしといてよ」


「そうか分かった、今日手伝って貰ったアンさんどうだった?嫌なら2人だけにするけど」


「あの人か、俺とスナックはやっぱ客の相手とか苦手だって分かったよ、あの人がいいなら手伝って欲しい」


「分かった伝えとくよ、それとあの人じゃなくてアンさんな、あとこれ渡すの忘れてたわ」


「なんだよこれ?」


「髪の毛用の石鹸だよ、ドロッとしてるけど心配すんな俺も使ってる物だ、食べ物を売るなら綺麗にしとくのが常識だからな、今日から使って綺麗にしとけよ」


「ああ、めんどくせぇけど分かったよ」


「なぁニック、クレープ屋楽しいか?」


「忙がし過ぎてそんな事考える余裕なんてねぇよ」


「そうか、さっさと寝て疲れとっとけよ、明日はもっと客が来るかもしれんからな」


「え?これ以上とか無理なんだけど、、、」


「ははは、それは嬉しい悲鳴ってやつだな♪」







自分の部屋に戻った俺は、机に白い布を敷き女神像を置いてその前に桜餅を供える



あーあー


今日は桜を堪能して楽しい1日でした、桜餅は葉っぱと一緒に食べて下さい


言い終えると桜餅はうっすら光って消えてしまった



(これからも期待していますよ、それとあの子の保護お願いします)



頭の中にいつもの声が聞こえたのだが


あの子って誰?


そして指示が雑ー!



まあ創造神様が言うんだから俺のような転生者か転移者だろうけど、あと勇者もいたか


保護って言われてもなぁ、写真か、せめて似顔絵くらい無いとこっちから探せ無いんですけども(汗)


その辺は創造神様がなんとかしてくれると信じよう!


そして俺は疲れたから、寝る!






ーーーーーーーーーーーーーーー




翌日。


今日もミリーさんに呼ばれてニィナと商業ギルドに来ている


昨日はしゃぎ過ぎて筋肉痛だけどな(笑)



今日はついに例の伯爵夫人が来るらしいから、それで正装して来いって言われたのだが


そこで俺はかなり悩んだ


俺が思う正装はスーツなのだが、この世界にスーツのような形の服は無い


この世界の一般的な庶民の正装はツギハギの無い綺麗な服の事を言う


服は高価で1度買えば直しながら着続け、最終的にはツギハギした布で元の生地が見えなくなるのが普通なのだとか


それは金を持ってる商人等も変わらない、使用する生地の質は良い物にはなるが



それなら俺も綺麗な服を着るだけで良いのだろうが、そこは元日本人の常識が邪魔をする


正装して来いと言われて綺麗なだけの普通の服で行く事に、めちゃめちゃ抵抗感がある!



そこでスキルの「店」にある物の中から俺が選んだのは


コスプレ用の『海上自衛隊第3種夏制服』という物だ


いわゆる海上自衛隊と言えばコレ!


ってイメージのよく見る上下白のやつだ、コスプレ用だけど本物と変わらないように見える


これならこの世界の貴族の服にも儀礼用の軍服にもギリギリ見えなくはないかな?



今回のピスケス伯爵夫人の訪問は、領主不在のこの街を視察するという名目の公式なものだ


だからこのくらいカッチリした服装で会う方が良いだろう


そしてこの服のデザインや生地を見て、半端な貴族より利用価値があると思わせられればいい


シャンプーやリンスに興味を示したなら利用価値有りと思ってくれてるだろうけど、相手は貴族だ油断はしない



ちなみにニィナも男性用の制服を着ている、スカートだと動き難いからだ


無いとは思うが暗殺対策も兼ねていて、ニィナなら余程の達人か暗殺特化のスキルでもない限り対処は可能らしいけど


存在するのね、暗殺スキル(汗)





さて、鬼が出るか蛇が・・・



この世界だとオーガが出るかドラゴンが出るかってところか?




いざ参る!






つづく。

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