第28話 顛末と芋
朝、目が覚めベッドで横になりながら、あらためて昨日の事を思い出してみる
王都から騎士団の派遣に半壊した冒険者ギルド、約100人が連行されその中には領主もいたらしい
どう考えても普通ではない出来事だったと思うんだが、騎士団が帰ったらこの街の人々は何事もなかったようにいつも通りだった
『コンコン』
「主様起きておられますか?」
今日もニィナが朝からやって来た
「おはよう、どうした?」
「おはようございます主様。王都より緊急発表がありました。」
「緊急発表?こんな朝早くに?!」
「詳細はこの紙を読んで頂ければ分かるかと」
手渡された紙を見ると、時代劇なんかでよくある瓦版のようなものだった、この世界は紙が安いんだろうか?
内容は
『冒険者ギルド・キャラバンシティ支部の副ギルドマスターが領主の子息と共謀して国家転覆を謀った』というものだった
勇者と騎士団の活躍によって未然に防がれたらしい
それにしても勇者か、やはり居るんだな
領主及び冒険者ギルドの関係者は全員王都にて取り調べを受けるらしい
領主の辺境伯は責任をとって男爵に降爵、未開拓の地に領地換え
それと同時に新たな領主とギルドマスターの派遣が決定したと書いてある
なんにしても知らぬ間に事件は解決したって事か
めでたしめでたし・・・
って簡単には行かないのが世の常だよ(悲)
冒険者ギルドが機能してないから大半の冒険者は仕事が無くなるんだ、一部は商人と専属契約をしてるから良いけど
仕事の無い奴が増えると治安が悪化するからそれは避けたい、そこで俺は以前から考えていた計画を実行に移す事にした
だがその前に朝ご飯を作らねば!
俺はスキルの「店」でバーベキューセットと炭を購入して火をつける
塩コショウをした鳥肉を炭火で焼いていき、焼けるまでにキャベツを千切りにしてパンに挟んでおく
鳥肉が焼けたらパンに合わせて大胆に大きくカット、パンに挟んでタルタルソースをたっぷりかけたらチキンサンドの完成だ!
「みんな~ご飯出来たぞー!」
「ひゃっほー今日もスゲェー旨そうじゃん♪」
「それじゃあ、いただきます。」
「「「いただきます。」」」
いつものようにみんなガツガツ食べてる、これだけ旨そうに沢山食べてくれるなら作り甲斐もあるってもんよ♪
でも毎日はしんどいんだよ、主婦はなかなかに大変なんだなと改めて思う
料理の出来る奴隷が必要かもなぁ
飯を食った後は計画を実行するため早速冒険者ギルドにやって来た、すでに跡地と言う方が正しいかな
ヒゲもじゃで筋肉ムッキムキの小柄なおっさん達が瓦礫の撤去をしているけど、あれが異世界で定番のドワーフだろうか
だが所詮はヒゲもじゃのおっさんだ、俺も中身だけだがおっさんだ、おっさんがおっさんを見ても全くテンションは上がらない
「なあケイト、仕事の無い冒険者集められないかな?」
「集めるっていうか、勝手に集まって来るんじゃないかな、まだ冒険者ギルドが撤去されてる事を知らないだろうから」
とりあえず俺は近くにいる冒険者に依頼をしたいと声をかけていく、大半の奴に断られたがな
それでも何人かは引き受けてくれた、俺はある物の絵を書いた紙を渡してそれを探して持って来てくれるように頼んだ
報酬は前金の代わりにウィンナーサンドを1個、絵と同じ物を持ってきたら銀貨3枚払う約束をした
俺は前から考えていたんだ
この世界はとてもチグハグだと、あの創造神様が作った世界なら絶対に有るべき物が無さ過ぎると
この世界は地球を参考にして作られたんじゃないかと俺は思ってる
魔法のせいか独自の発展をしてはいるけれど
冒険者達にはそれらを探して貰うよう依頼したんだ、日暮れ前に集まって貰うからそれまでに商業ギルドでの用を終わらせとくか
ーーーーーーーーーーーーーーー
俺はみんなと一緒に商業ギルドのギルドマスター室にやって来た
「ミリーさんこんにちは、急な事にもかかわらずありがとうございます。」
「シン君の頼みなら構わないけど、いつの間にかお連れの皆さんが増えて随分と賑やかになったわね♪それで私に用って何かしら?」
「この絵について何か知らないかと思いまして」
「何かしら?」
俺は冒険者達に渡したのと同じ絵をミリーさんに渡す。
「これらが何かシン君は知っているのかしら?」
「勿論知っています。その紙に描かれている絵は、芋、人参、ゴボウです。」
「芋?ちょっと待って頂戴、これらは名前すら無い雑草の根でしょう?」
「俺の故郷では全部に名前があり普通に食べられてましたよ。」
そう、俺が探していたのはいわゆる根菜だ、他の野菜はあるのに根菜だけが無かった
もっと早く気付くべきだったんだ、干し芋は大人気で凄く売れてるのにもかかわらず真似した商品が全く出て来ない事に
もし、この世界が地球を参考にして造られているのなら
創造神様が根菜だけ造らないはずは無いんだ、ならば認知されてないだけで存在してるはずだと
長命種であるエルフのミリーさんなら見たことぐらいあるんじゃないかと思ったが、どうやらアタリだった♪
つづく。
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