リセットケース1 尾方 俊介①

俺はしがないサラリーマン


そこそこの大学を出て、そこそこの会社に運よく就職


両親にも恵まれ、3つ上の兄貴はケンカもなく優しい


普通の俺の人生が、まさかあんなことになるとは


想いもよらなかった


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「あち~いぃ」




大学卒業して早3年、俊介はいつものルーティーワークをしていた


就職祝いで買ってもらったスーツは、3年たった今そろそろ変え時だった


両親が、喜んでくれたスーツに身を包み、ネクタイピンは兄貴がくれた


家族が、喜び期待してくれているから、こんな毎日の通勤電車と


外回りなんてへっちゃら!、、、、、




なんてことはなかった


スーツもちょっとかっこいいの選んでくれたらよかったのに


ようやく、今度のボーナスで自分好みのスーツを買った




もうすぐ届くから、こんなスーツはクローゼット行きだ


兄貴も今時ネクタイなんかしないから、もうちょっと違うものくれたら


良かったのに、プレゼントなら他にも今時のものがあるだろー




俊介は、真夏の暑さと夏バテした身体で、家族に文句を思い浮かべた




優秀な兄、今時珍しいくらい、そこそこ裕福な両親


何不自由なく育ち、それほど激しい反抗期もなく


通っていた学校も、友達も普通に良い人だった




苦労と言えば、大学受験くらいで


俊介は、壁という人生で立ちはだかることはなかった


そこそこの顔立ちだったので、彼女も途切れたことはない




上下関係も持ち前の社交性で、会社でも上司からの受けもよかった




順風満帆、20代後半か30代前半で結婚して


まぁ、子供は2人くらい、可愛い嫁が貰えればいいな~


と、俊介はごく普通の男であった




そんな彼がリセットボタンと出会うまでは、、、




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