虚数

羊がいる

羊は柵の中にいる

羊は2次元の生き物だと

その教師は言った


柵の上からでも

穴を掘って下からでも

柵を越えていけるのに

彼らは上下の世界を知らないと


人間は自然数を使い

分数、円周率、無理数

さらにゼロ、マイナスと

様々な数字を見つけていく


それらは数直線と呼ばれる

ものだけに存在した


しかしここで虚数という

実に神秘的なものが考案される


虚数は数直線上にはなく

幻のような数字だった


しかし数直線の上下

ガウス平面にそれがあり

抽象化されたことによって

数学・物理の世界は

飛躍的な進歩を遂げていく


しかし先生、どうだろう

柵を越えても人類は未だ

とかく実数ばかりを追って

虚数には

目を向けていないのではないか?


虚数の記号はi(アイ)


数直線上で幻を探す

迷える子羊は今日も彷徨う



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