懐かしき歌声が響き渡る 2 子供時代、煌めく雪の中の想い出
懐かしき歌声…雪の粉雪が舞う
キラキラと粉雪が日の光を浴びて、輝いて綺麗
木製のスキーの箱やお手製のスキー板、乗った子供らが歓声を上げている
「暖かい飲み物が飲みたいね」 「ショコラかホットミルクとか」
森の中でクリスマスの歌を唄いながら 少女の一人はそれは美しい声で、歌う
「いつ聞いても、素敵よね」
「日曜日の礼拝で、また歌を唄うのよね
去年もクリスマス市場で、チャリテイの聖歌隊でも唄っていたよ…
いつも街の人達は足を止めるもの」
後ろの列の子供が 小声でそっと、話をしている。
2年前に来てから
彼女は、ずっとここにいるかのように僕らの輪の中に溶けこんで親しかった。
僕は、歌を唄う少女の横顔を見つめていた
キラキラと粉雪が彼女に降りかかり
メアリーの髪の上に少々、降り積もる それは髪飾りのよう
次には子供達は僕の家に向かう。
「ただいま」愉しげな歓声をあげたのだった。
「お帰り おや、お友達も一緒かい?」
「さあさあ…暖炉の火で暖まりなさいな」
「チキンや生ハムを挟んだパンと
クリスマスのレープクへーンがあるよ」
「お手製のレープクーヘン 人型と星型とどっちがいい?」
白いラインの模様入り
黒っぽい大きなクッキーを暖炉の上の籠から取り出す
他にもツリーに飾られたレープクーへンに
数個の丸い飾りの玉 玉の中には、丸い形の菓子
「あ!可愛い 暖炉の上には、ジンジャークッキーで
作ったお菓子の家も置いてあるね」
「葡萄ジュースを温めた物だけど…飲むかい?」
「ホットミルクやショコラもあるよ」
「おや、また来たな…」
ニッと悪戯っ子のような笑顔を見せて、老人が子供達に話し掛けるのだ。
「お爺さん」友達の一人が声をかける
「また、パリ万博の話が聞きたいよ」
「そうか、チュジニア館の象や踊り子の話か?
それとも日本館の話が聞きたいか? サダという美しい日本国の女優も観た」
「東洋のジャパン、美しいサダの夫 ミスター音二郎の舞台」
「道が動く話は本当なの?」 「通りの一角のほんの一部だがね」
「いつもカフェで美味いカフェオレにバタークリームたっぷりの菓子を食べたよ」
「世界で一番古いカフェにも行ってきた」
「先日、見せると約束したパリの絵葉書だ」
そこには、パリの街の絵が数枚に 女性のモノクロ写真に色塗りしたもの
「変わったドレス?」 「ジャパンの着物だそうだ」
「同じ着物みたいだけど
こちらの分は、バレエのダンスの衣装風に
アレンジされてるね 袖の辺りを波型にしたり 手を加えている」
「大きな帽子と素敵なドレス」
「若い頃は、絵の勉強と村のワインを売る仕事で
よくパリを往復したものだがね」
「ほら、これはミュシャのポスター 伝説の女優サラ・ベルナールの舞台の分」
祖父はそれは愉しげに麗しき時代のパリの話をしたりして時を過ごす。
「子供たち、ほら、とっておきだよ」
おばさんが笑いかけながら 薪の形に似せた ロールケーキにナイフを入れて
切り分ける フランス風 ブッシュノエル
それから いつものシュートレイン
夜には焼き立てパンにキッシュにビーフシチューが待っている。
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