第19話四歳の誕生日中
「パウル。お前の代官としての働きは、
祖父の言葉には愚息と言いながらも、父を慮る親心が見えた。そうでなければ、態々忠告をするとは思えない。
――――
しかしただの
高校で世界史を学んでいた方々は覚えて居るだろうか? 宮廷には宮中を取り仕切る
これは現実の世界では、フランク王国メロヴィング朝の宮宰
732年のトゥール・ポワティエ間の戦いで、ウマイヤ朝イスラム軍を破りったカール・マルテル。その子供で751年カロリング朝を開いた
その子供は800年の12月25日に教皇レオ3世の手で戴冠された。彼の初代神聖ローマ帝国皇帝
オタクである諸兄には、宮廷文学であるシャルルマーニュ伝説やシャルルマーニュ十二勇士の王と言った方が分かりやすいだろうか? デュランダルを持った筆頭騎士ローラン、男の娘アストルフォ、紅一点ブラダマンテ、影の薄いナモ等が有名だろう。
――――兎に角言いたい事は、地位と権力を持っているであろう、
「十分理解しているつもりです……」
お爺様の言葉に父の語気は弱まってしまう……
少し調査が必要だな……
俺の折角の第二の人生。強くてニューゲームに茶々を入れられては溜まった物ではない。
そんな事を考えていると……
「お久しぶりです。お義父さま」
そう言って夫の窮地に妻は助け舟をだした。
「おお。シルヴィア殿ご壮健そうで何よりだ」
「全ては、ハワード家、ひいてはお義父さまのお力のお陰で、夫婦共々何不自由なく安寧に過ごす事が出来ております。この子の誕生をお義父さまが、直々に祝っていただける事にも感謝申し上げます」
……どうやら祖父はシルヴィア母様が苦手のようで、シルヴィア母様としては祖父に、ただ礼を言っているだけに聞こえるが、バックボーンが分からない今は考えても仕方がない。
「直系の男児であるユーサーには、立派な貴族に成ってもらおうと準備してこれらを用意した。おい! プレゼントを持ってこい!!」
当主であるコンスタンティンの一声で、【
「この国には、子供に様々な願いを込めて騎士飾りを送る事になっておる。「敵を倒す剣」と「病魔を浄化する弓矢」「身を守り安全を祈願する鎧」、「理想の貴族の象徴である槍」の騎士飾りを「ノーフォーク十二家」から贈り物として送って貰った。ワシの後ろに居るのは十二家の名代や当主達である!」
どうやらこの世界には
本来なら過剰な礼節ではあるが、片膝を折り礼をしたのち、身体を起こしてから父は口上を述べる。
「ノーフォーク十二家と言えば、ハワード家に長年使えてくれている有力な家と聞いております。時の国王陛下より直臣に迎えたいとのお言葉を辞退されたり、遠方ですが良い領地替えのお話を辞退されたとの話を、
俺が十二家を立てる言動で、相手に感謝の意思を示す。
ノーフォーク十二家はハワード家を
俺がノーフォーク公爵家でトップを目指すのであれば、味方に付けなければいけない。世界史で習った神聖ローマ帝国の選帝侯や、カトリック教会における
「送っていただいたモノには遠く及びませんが、私が手づから育てた花をお送りしたいと思います」
俺が言葉を言い終わると側に控えていた。使用人たちによって人数分の花束を返礼品として送る。
「ほうユーサーの趣味は園芸か……良い趣味ではあるが……少し爺臭いな。若い内は剣の
祖父の言葉にノーフォーク十二家の面々はわっと反応をする。
「美しい花ですな」
「武芸には興味はありませんか?」
――――など反応は様々だが、大方野心があれば御しやすい愚物がトップの方が都合が良く、男らしくない趣味を持っていると内心小馬鹿にしている。従兄弟派の連中も混じっているのだろう……
祖父からも良い反応を引き出す事が出来た。
この世界での鷹狩や貴族の狩りは、前世で言うゴルフのようなものであり、貴族の男性が親睦を深める際に良く用いる。武官貴族でなくても弓であれば、ある程度使うモノで腕が誤魔化せるし下手でも、得物のせいに出来るので色々と都合が良いと言うのもある。
貴族の役割が武官から官僚へと変化した現在においては、色々と都合のいい
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