第36話 マウイ島2
陽気なポリさんのおかげで、「ナカムラさん」という日系3世の人のコテージに泊めてもらう事になった。コテージとは言ってたが、普段は宿泊所としての設備は備えてないようだ。日本で言う民泊のような感じで、宿泊所にあぶれた旅人たちを家族と同じ家に、格安料金で泊めてくれているようでとても親切なご夫婦だ。
翌日、奥さんは早朝から仕事に出かけ、お会いできなかった。一方ご主人は夜間に、ホテルで働いており、朝7時過ぎに帰って来られた。魚釣りが趣味のようで、釣り竿や釣り糸etc.を見せて頂き、魚釣りの話をしてくれた。お2人とも親切な上、話好きの素敵な人であった。
「ナカムラさん」宅をおいとました後、2時間ほどハナの町をぶらついてからヒッチハイクにトライしてみた。ヒッチハイクは北海道でのホステリング以来だ。レンタバイクが無くなった故のトライである。これも旅の醍醐味のうちである。ハナからカフルイまでは約80キロ、結構ある。
2時間ぐらいは海や野の景色を見ながらのんびり歩いていたが、13時過ぎから本気モードに入った。それでも、なかなか停まってくれない。途中から黒犬が付いて来て離れようとしない。カナダのマグダレン島の黒犬を思い出す。北米では、どういう訳か黒犬に好かれるようだ。
ヒッチの成功をほぼ諦めかけて、どっかで又野宿してやろうかと思いつつやけになって歩いていたら、一台の乗用車が一度通り過ぎた後、引き返して来てくれた。若々しい中年の女性1人に二十歳前後の女性4人の超豪華メンバーである。その中の一番元気そうな若い女性が黒犬に車のトランクに乗るように勧めてくれ始めた。私の友達と思ったようだ。
私、即座に
"This is not my Dog."
"Oh, I see."
ここで黒犬とはさよならする事になった。何となく可哀そうなような、寂しいような…。
女性一行はロサンゼルスからの旅行者で、母様に娘3人、娘の友達1人の5人連れ。オアフ島、カウアイ島は既に周っており、明日はハワイ島に行くとの事である。残念ながら、私より1日早い。
それにしても陽気なヤンキー娘たちで、後部座席で隣に座ってくれた元気な娘を中心に、車内でも思い切りはしゃぎ回っていた。その時の私の表情を見て、元気娘は
"We are crazies."
私もつられて
"I think so."
その直後、母親の笑い声。
このパターンが20分後にもう一度あった。
カフルイまで乗せて頂き大助かり。私を降ろした後、またまた引き返して来た。今度は何かなと思ったら、写真を撮るのを忘れるとこだったそうで、私の写真を1枚撮って行った。ハワイから帰った後、友達に話をするときのネタ用であろう。どうせなら一緒に撮って欲しかったが。
彼女たちのお陰で野宿しないで済み大助かりだ。旅先での親切は本当に有難いものである。
カフルイで一泊した後、レンタルショップに預けておいたバックパックの受け取りと清算の為キヘイに行ってきた。
「ナカムラさん」はバイクショップの責任だから、罰金は返してもらえると言ってくれていた。『返さないと言うなら電話してきなさい』とも言ってくれた。
改めて自分に問うてみる。
(果たしてバイクショップだけの責任か⁉)
自分にも落ち度はあった。あの時、店主らしきおやじの表情からして、本当は
(国際免許が必要なのではないか?)
と疑問を感じていた。
でもバイクが使いたかったので敢えて曖昧なままにして借りた。
理屈上はバイクショップの責任だとは思うが、自分の心は双方の責任だと思う。結果としては、「ナカムラさん」とも知り合いになり、自分の旅ができている。罰金は自分だけで良い。
荷物を受け取り、デポジット金と1日分のレンタル料だけ受け取ってきた。
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